終 異星の夜明け



ウイルスの勝利は決定した。


人類は自ら作り出した治療薬によって、究極の自己免疫疾患に陥り、世界は急速に静寂に包まれ始めた。


しかし、その勝利の瞬間、ウイルスのネットワークに、予期せぬ混乱の波が押し寄せた。



粒子β 「異常検知!『生命の基盤』が、我々の異星の核酸に反応している!彼らの細胞の深奥、太古の共生の記憶が目覚めた!」



粒子α 「排除しろ!なぜだ!この星の生命体は、我々が持ち込んだ『異物』を糧に、次の次元へと飛躍しようとしている!」



何億年も前、細胞に取り込まれたバクテリアがミトコンドリアとなったように、太古の生命進化のプログラムが起動した。


人類の細胞が自己崩壊する中、一部のミトコンドリアは、ウイルスの異星の遺伝情報を獲得し、宿主を超越した変異を開始した。


キタムラは研究所の窓際で、最後の瞬間を迎えていた。全身が燃え尽きるような感覚の中、彼はふと外を見た。


街の明かりが消えた廃墟の中に、生命の新しい輝きがあった。


彼の視界が白くかすむ直前、キタムラは見た。


倒れる寸前の人間だけでなく、植物、昆虫、あらゆる生物の細胞から立ち上る淡い発光だった。


それは、異星のエネルギーを組み込んだ「生命の基盤」が、地球上の全ての生命体を巻き込み、光合成に似た新たなエネルギー生成プロセスを開始した証だった。



粒子α 「我々の誤算だ...我々は『筐体』を支配したが、『筐体の中の筐体』に利用された。この星の生命体は、我々が持ち込んだ『異物』を糧に、次の次元へと飛躍した!」



粒子β 「我々は...『支配者』ではない。我々は、この星の生命史を次のページに進めるための、異星のインクだったのだ。」



異星のウイルスは、この星を支配する代わりに、進化の歴史を書き換える、壮大すぎる触媒となった。



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3.8億年の共謀 satellite @satellite-202511

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