第二話 「初めて名前を呼ばれた記念日」

気を取り直して、うゆくんに屋敷内を案内しつつ仲良くなりたくて、うずうずしていると...


「あ、あの......

案内してくれて...あ、ありがとうございます...鈴乃様......」


初めて、うゆくんに名前を呼ばれた瞬間だった。

——私はこの日を、

「初めて名前を呼ばれた記念日」として、

心の中でそっと保存した。

感動でよろめきそうになる身体を、必死に平静を装って保ち、震えそうになる声をどうにか振り絞る。


「私のことはお姉様と呼んでくれて構わないわよ?」


ここで、お姉様呼びをしれっとアピールしてみることにした。


「えと......鈴乃お姉様......?」


(はい、いただきました。)

しっかり心でアンサーを返しバレないように悶えた。

今までの人生、生きてきてよかったと思えた瞬間であった___終



......なわけがない。

まだ魅せたいシーンはたくさんあるのでここで終わらせるわけにはいかない。


「ちょうど、RaB bitのお菓子があるの...

良かったら一緒にどうかしら?」


「僕が頂いてもいいんですか......?」


「もちろんよ

着いてきてちょうだい」


うゆくんをさりげなく自室に招き入れることに成功した。

名付けて餌付け作戦である。

このまま距離を縮められたら上出来だと胸に秘めつつ、私は何食わぬ顔でティータイムの準備をした。

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リュボーヴィ クローリク 西瀬 零真 @RiM_Nishise

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