第一話 「推し事計画」
「は、初めまして......あ、
と気恥ずかしそうに、もじもじと視線を泳がせながらの自己紹介に私の胸の鼓動は早鐘のように鳴り響いた。
そう、大切なことなので改めて言おう、私の“大好きな最推し”いと美しき彼の名は有栖結真という。
見た目だけでも反則級なのに名前まで可愛いという始末、攻撃力はなかなか高い。
つい、頬が緩んでしまうのを必死に堪えながら、私も自己紹介をした。
「初めまして。私(わたくし)は
これからは家族になるのだから、
私のことは本当の姉だと思って接してくれたら......その、う、嬉しいわ。
分からないことは、何でも私に聞いてちょうだい。
よろしくね」
我ながらいいレスポンスだと自負する。
ファーストインプレッション、そう、第一印象はとても大切なのだ。
彼がたとえ他の誰かと結婚したとしても末永く見守り、なるべく彼の人生に関わっていきたい。
だからこそ、悪い印象は、絶対に避けたい。
ゆえに私は
何故ならば、姉であれば勉強を教えてあげたり、お菓子を食べさせてあげたり、欲しいものをいくらでも貢いであげたり、彼が困った時に相談を聞くことも可能だからである。
不貞の可能性は全く拭い切れてはいないが父には心からの感謝をした。
「彼は私の古い親友の子供でね。
鈴乃の弟たちとちょうど同い年だから仲良くしてやってくれ。頼んだぞ」
「もちろんですわ」
としっかりと頼まれた言質は取った。
そして父の不貞も晴れたところで私はうゆくんに屋敷の案内をすることにした。
ちなみに、何故うゆくん呼び?と思ったそこのあなたに、しかと説明をしておきますわね。
うゆくんは
リュボーヴィ クローリク。
通称『リュヴィクロ』というBLゲームに登場する主人公でタイトル通りうさぎのように愛らしいので、“うさぎ+ゆいま”でうゆくんと命名されたのである。
——私が腐っていたことについては一旦置いておく。
うゆくんはゲーム通り西園寺家に来ることになる。
そして攻略対象たちと様々な障害を乗り越えて恋をする。
その色々な障害の一つが私、西園寺 鈴乃であるが...この私がうゆくんに害を成すわけがないのでここは無問題である。——少なくとも、私にとっては。
ただ、一つ問題があるとすれば私の婚約者であろう。
彼はうゆくんの恋人候補1だ。
ゲームではうゆくんに散々嫌がらせした私を徹底的につぶしにかかってくる。
彼の性格なら、嫌がらせをしていなくとも、邪魔だと思えば排除してくるだろう。
——そのためにも、まずは婚約破棄である。
そして、うゆくんの恋路をしっかり刮目する所存である。
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