『これからルール説明に入ります。質問等は一切受け付けないのでそのつもりで。

一、殺人は構わないものとする。ただし主催者側に危害を加えた場合直ちに処刑される。

二、ポーンは制限時間以内にゴールを目指す。先着順に次のステージへ進める。順位外のポーンは残念ながら脱落とす。

三、行動範囲は一時間ごとに狭まる。範囲外にいたものは失格とし、処刑する。以上』



 言い終わり、穏やかな音楽が流れた。


 おそらくこの音楽が鳴りやんだ時がレースの始まりだろう。その証拠にいたるところで静かに電子数字が減っている。


 各々が行動し始める。

 少しでもゴールに近づこうとするもの。

 少しでも身の安全を確保しようとそこら辺のものを物色するもの。

 緊張を和らげようと小規模な集団を形成するもの。


 わたしは一人だ。ここでも。


 だから何だ。


 死ぬときは死ぬ。でも生きる為に抗う。それだけだ。


 唐突に、いくつものエンジン音が轟いた。


 二つ、いや三機だ。


 魔物のように吠えている。その意味を私たちは根本的にはわからなかった。


 威嚇なのか、ジャンキーたちの波長が合ったのか。


 でも肌で感じ取った。


 この街には殺しを何とも思わない人間が多すぎる。


 わかりやすい分、俄然肌が痺れた。


 人は現代に生きるようにまだ設計されていない。


 その証拠に血なまぐさい闘争本能に全振りした死の匂いを取り込んだ身体が露骨に悦んでいるのが分かる。


 なんとなく哀しかった。


 『レース開始まで、のこり一分を切りました。残り一分です! ポーンの皆様、がんばってください!』


 やけに愉しそうに云うじゃないか、えぇ?

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