人がたくさんいた。空気は淀んで、息を吸うだけでも肺が重くなる。風がない。


 見上げると白い光一つだけがうかんでいた。見ているだけで気持ち悪くなりそうな天井だ。


『会場に向かうバスに乗り込んでください』


 空の見えない塗りつぶされたような天井から響く声に従って型式もわからないバスに乗り込んだ。


 密集した人ごみに嫌悪感を抱きながらも、静かにベルトコンベアに乗せられた箱のように詰め込まれて座った。満席になると運転手のいないバスはひとりでに動き出しトンネルへと進んでいった。


 いくつかのバスは枝分かれした。


「お前学生か?」

 不意に声を掛けられた。

 おじさんだ。隣に座っていたビール腹の。

 いきなりなんだろうと身構えていると、おじさんはなにも言わずに視線をふいっと前へ戻した。

 なんだ、この失礼な人は。

 

 バスは止まり、市街地に出た。


 一目見てわかる生気の無い街。


 偽物の街だ。

 

 東京のような都会をモチーフにしているのかビル群も見立つ。


 ここで、殺し合いが行われる。

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