第7話
「お姉ちゃん、忘れ物ない?」
「うん、大丈夫だと思うんだけど……」
「なんか思い出したらすぐ連絡してよ、あたし届けるから」
「大丈夫……なはず……」
お姉ちゃんが鞄の中を漁り始める。心配だ。
「昨日確認してたじゃん、だいじょーぶだいじょーぶ」
「忘れ物常習犯のお前が言っても説得力ないな」
「おいやめろよ兄ちゃん!」
じゃれ合ってる紡とお兄ちゃんは放っておいて、あたしはお姉ちゃんの肩をトンと押した。
「隼翔くんそろそろ来るんじゃないの?」
「そうだね、そろそろ……」
お姉ちゃんが時計を見上げたとき、ちょうど玄関のチャイムが鳴った。お姉ちゃんがぱっと顔を綻ばせる。
その顔を見て、あたしもようやく自然に笑えるようになった。
「じゃあ、行ってきます。っていうか式場で会えるけどね」
お姉ちゃんが笑って立ち上がる。
そうしてそのまま玄関に向かおうとするのを、「お姉ちゃん」と引き留める。
お姉ちゃんはすぐに振り向いた。
「お姉ちゃん、今日何回も言うけど。……おめでとう」
あたしがそう言ったとき、お姉ちゃんは今まででいちばん綺麗な顔で、笑った。それは間違いなく、幸せな人の笑顔だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます