第7話 三つ子彼女と付き合うことになって、舐められた(改稿済)

1/7 19:34にみきとが決意を伝える部分の表現がちょっと違和感あったので改稿しました!

―――――――――


 公園に行くと、先に三つ子が待っていた。

 何やらシーソーで遊んでいる。

 楽しそうだ。


「お待たせ」

「私たちも今来たところですから。お構いなく」


 サラはいつも、俺より早く待ち合わせ場所にいた。

 俺が遅刻する場合もあるが、大体は十分前には着いている。

 それでも決まって先にいて、「今来たところだよ」と笑顔で言ってくれるのだ。

 それは三つ子だと明かしてからも、同じだった。


「連日呼び出してるけど、忙しくない?」


 三人とも有名人とか、他にやっていることがあると言っていたし。


「予定は調整してきたから、みきとは気にしないでー」


 あやは優しい声色で、手をひらひらと振った。


「ちなみにあの連絡先は誰につながっているんだ?」

「これは「遠城寺おんじょうじサラ」としての共用スマホなんだよ。交代で使ってたんだー」


 らんがスマホを見せびらかしてきた。


「一人を演じるために、わざわざそんな物まで……」

「でもこれからは、使う必要なさそうかなー」


 蘭は手に持っていたスマホを鞄に入れて、もう一つのスマホを取り出した。

 あっちは個人用か。


「確かに、これからは自分のスマホで連絡すればいいんだ。ってことでみきと、連絡先交換しよ?」

「四人のグループも作りたいですね」


 彩とさくも、それぞれ自分のスマホを取り出す。


 ということで、俺は三つ子の連絡先を入手した。

 その後、「みきとくんと三つ子彼女」なるグループに入れられた。



 三つ子たちは今日も俺の家に集まっていた。

 昨日との違いは、コップを用意しておいたので三つ子全員に飲み物を提供できた点だ。

 三人とも、オレンジジュースを欲しがった。

 「遠城寺サラ」はオレンジジュースが大好きだったが、演技ではなく三つ子全員の共通点らしい。


「三つ子全員と付き合う覚悟はできたけど、まずは一人一人のことをもっと知りたいと思ってる」


 俺はリビングでジュースを飲んでくつろいでいる三つ子に、自分の考えを伝えた。


「ってことは、私たち全員みきとくんの彼女?」

「そういうことになる……というか、元からそうだったのを受け入れるというか」

「やったー! けど、一人ひとりなんて言わずに一気にがばーっと襲ってくれてもいいのに」


 彩が魅力的すぎる提案をしてくるが。


「さすがにいきなりそれは気が引けるというか……俺、三人それぞれのことを、まだ知らなすぎるから」

「いつかは三人一度においしくいただくこともあるかもしれないけど、今は早い……ということですか」

「あー……そういうことになる、のか?」


 覚悟はできた、と言っても具体的なことは考えていなかった。


「詳しく知ってからじゃないとえっちなことはできないって……みきとってば律儀だなあ」

「私は、みきとくんが一人一人をもっと知りたいと言ってくれるのは嬉しいよ?」


 すっかり、三つ子に囲い込まれている気がする。

 けど、かわいいから仕方ない。


「ただ……知りたいと言っても、どうしましょう?」

「んー……それぞれのお馴染みの場所で会ったり、自分がどんな人なのかを改めて話したり、デートしたりじゃない?」

「わー……それいいね! でも、まずは誰から?」


 三つ子は一人一人を知りたいという俺の要望を受け入れてくれたが、新たな疑問が生じた。


「ここは長女の私からでしょう」


 と咲。


「ずるい、妹に譲ってよ」


 と彩。


「それを言うなら末っ子は私だよー」


 と蘭。

 微妙に張り詰めた空気が流れる中。

 チーズがふらりとやってきて、彩の膝に乗った。


「あ。みきとの飼い猫は、わたしに一番懐いてるよ。ねー、チーズ」

「にゃー」


 チーズは彩の膝を占領して、満足そうに鳴いた。


「だってチーズくんは、あやちゃんがみきとくんと一緒に助けてあげた猫でしょ? 懐くに決まってるよ……」


 蘭は不服そうだった。

 ちなみにもう一匹の飼い猫、ショコラは俺の隣で丸まっている。


「では私はこちらの子を……ショコラくーん、こっちですよー」


 咲が呼んだら、ショコラはすたすたと歩み寄っていき。

 思う存分、撫で回されていた。

 こうなると、蘭だけ猫に構ってもらえていない状態だ。


「猫ちゃんたちに懐かれているかどうかは関係ないでしょ! 今重要なのは、みきとくんに愛されてるかどうかだから!」


 蘭はそう言って、俺の隣に座った。


「みきとくん、私からにしよう?」


 蘭は上目遣いで、俺に頼み込んできた。


(か、かわいすぎる……)


 俺が思わずうなずいてしまいそうになると。


「あ、抜け駆けとかずるい!」


 彩が抗議した。


「ですが、らんちゃんの意見は一理あります」

「どゆこと?」

「結局、みきと先輩が誰を選びたいと思うか次第です」

「それは……確かに。あ、そうだ」


 咲の説明を聞いて、彩は何やら閃いたらしい。


「じゃあ、みきとを一番ドキドキさせた人が、最初にみきととデートしたり、いちゃいちゃする権利をゲットできるっていうのはどう?」

「賛成です」

「わたしもー! ってことでみきとくん、覚悟してね」


 まずは蘭が先制攻撃。

 俺に抱きついてきた。


「あの、他の二人が見てるけど……?」

「気になる? だったら視界を奪ってあげるねー」


 蘭は俺の顔を引き寄せて、胸に埋めた。

 なるほど。

 確かに、周囲を気にしている場合じゃない。 

 柔らかい感触と、いいにおい。

 これはかなりの破壊力だ。


「みきとくん、どうかな?」


 平然とした口ぶりの蘭だけど。

 この体勢のせいで、胸の鼓動が直に伝わってくる。

 どちらかと言えば、蘭の方がどきどきしてないかこれ。


「しあわせだ……」


 安らいでいた。

 蘭の胸の鼓動のリズム感が、特にいい感じだ。


「……ドキドキと言うよりはリラックスしてない?」


 彩から指摘を受けた。

 確かに、ドキドキとは違う感覚を得ているかもしれない。


「え、ええ!? じゃあもっと……」

「らんちゃんは時間切れです。次、あやちゃんの番ですよ」


 咲が長女の威厳で強制終了させた。


「……ざんねん。でもみきとくん、私を選びたくなったら言ってね?」

「うん。ありがとう……」

 

 俺は感謝しつつ、柔らかな温もりのくつろぎ空間から解放された。

 蘭はソファーの方に戻っていく。

 が、すぐに彩が近寄ってきた。


「よーし。じゃあみきと、次はわたしの番ね」


 彩はそう宣言しながら。

 つつー、っと指で俺の脇腹の辺りをなぞってきた。


「っ……!」


 なんだこれ、ぞくぞくする。

 彩の指は、ゆっくりと下に移動していき。

 太ももや内ももの際どいところを、順番に触れていく。


「こ、これは……」


 確かに、ドキドキするな。

 にしても、この指はどこまで伸びていくんだ……なんて思った頃には。

 彩の手は、内ももの付け根あたりまで届いていた。


(これはいよいよか……!?) 

 

 なんて考えが頭をよぎった、その時。


「あやちゃんは知らないかもしれませんが」


 咲が彩の反対側に座った。


「みきと先輩は耳が弱いんですよ?」


 ぺろぺろ。

 いきなり二度、耳を舐められた。

 ぞくり、と俺の背筋に快感が走る。


「ちょっ……咲!?」

 

 後ずさりしながら咲を見たら。


「はい。みきと先輩の咲ですよ……ちゅっ」


 キスされてから。

 ぺろりと唇を舐められた。


「それと、みきと先輩は耳に限らず舐められるのが好きです」


 これで動揺するなと言う方が無理だ。

 強烈な不意打ちにより、俺の心臓はこれでもかというくらい大きく跳ねまくって。

 三つ子姉妹による「俺をどきどきさせる対決」は咲の圧勝で決した。




「まずは、私がみきと先輩を独り占めできる期間ですね」


 咲は俺の腕を抱きしめつつ、上機嫌そうだ。

 俺を含め、他の三人はしばし呆然としていたが。


「てかさ、この勝負って後出しが有利なんじゃ?」

「確かに。最後に一番過激なことをやったら、大体勝てるかも? さくちゃん、策士だー……」


 彩と蘭が、咲の狙いに気づいた。


「ふふふ。これでも私、あやちゃんとらんちゃんのお姉さんですからね」


 咲が妹たちにドヤ顔を見せつけると。


「でもさ、みきとが舐められるの好きなんて、さくちゃんから教えてもらった覚えないんだけど……?」

「確かに! サラとしてみきとくんに会った時に知った情報は共有する約束なのに!」


 彩と蘭が抗議の声を上げた。


「二人だけの秘密だって、欲しいじゃないですか」

「えー、ずるいー!」

「そうだそうだ!」

「でも。あやちゃんとらんちゃんだって……他の姉妹には教えていない、みきと先輩に関する自分だけの秘密があるんじゃないですか?」

「や、それは……」

「えーっと」


 咲の問いに、彩と蘭は目を逸らした。

 え。

 俺って、他にも弱点的なものがあったりするの?

 舐められるのが好き、とかいう話も無自覚だったのに。

 一体俺は、これから三つ子にどんな攻められ方をするんだ……なんて、戦々恐々としていたら。


「ともあれ、みきと先輩。さっそく明日から、いつものお店でお願いします」


 咲がそう告げてきた。

 いつものお店。

 俺のバイト先であり。

 サラとの思い出深い場所の一つだ。

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