第49話 剣を置く場所


歪曲地帯を抜けた先は、

小さな丘だった。


風が

穏やかに

草を揺らす。


次郎は

丘の上で

立ち止まる。


鑑定を

使わなくても、

分かる。


ここには

歪みがない。


世界は

静かに

呼吸している。


元勇者が

後ろに

立つ。


「ここで……

終わりですか」


次郎は

少し考え、

首を振る。


「終わりじゃない」


「区切りだ」


剣を

地面に突き立てる。


何十年も

握り続けた

剣だ。


だが、

重くはない。


次郎は

手を離す。


剣は

倒れない。


大地に

受け止められている。


「必要な時は、

誰かが

使えばいい」


それで

十分だった。


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