第20話 勇者の影


ダンジョン中層。


次郎は

見慣れない足跡に

眉をひそめた。


鑑定が反応する。


《人型反応

装備:高位》


現れたのは、

若い剣士だった。


豪奢な鎧。

光る剣。


「君が、

噂の老人か」


態度は尊大だが、

剣の構えは

正しい。


「俺は勇者だ」


次郎は

一息置いた。


「……そうか」


それ以上、

言葉は要らない。


勇者が

先に動いた。


剣が速い。


だが直線的だ。


次郎は

半歩ずらし、

柄で弾く。


「なっ?」


「剣は、

振り回すものじゃない」


次郎は

斬らない。


勝負を

終わらせただけだ。


勇者は

歯噛みし、

去っていった。

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