第13話氷の玉座 ── 論理 vs 奇跡

防御壁を突破した二人は、帝都の中枢にそびえ立つ「黒鉄の塔」の最上階へと駆け上がった。

巨大な扉を、侍が蹴り破る。

​「よく来たな。……バグだらけの旧式どもよ」

広大な空間の奥、無数のモニターに囲まれた玉座に、その男は座っていた。

機甲将軍、金剛。

左半身を覆う黒い機械パーツが、不気味な駆動音を立てている。

​「金剛……! 貴様の歪んだ支配も、今日で終わりだ」

侍が黄金の太刀を突きつける。

だが、金剛は立ち上がることさえせず、冷笑を浮かべた。

​「終わり? 違うな。ここからが『実験』の始まりだ」

金剛が指を鳴らすと、床から無数のアームが出現し、侍たちを取り囲んだ。

「検体7号(姫)。お前の体内には、致死率100%の毒を無効化する未知のデータがある。それを解明すれば、私は不老不死の軍団を作れる」

​「……私はモノじゃないわ!」

姫が叫ぶ。

「命は、貴方の実験道具じゃない。温かいスープを飲んで、愛する人と笑い合う……そのためにあるのよ!」

​「くだらん」

金剛の声が氷点下まで下がる。

「感情、愛、祈り……。そんな不確定な要素にすがるから、人間は脆いのだ。……見せてやろう。完璧な論理(ロジック)が生み出す、絶望という名の答えを」

​ズズズ……!

金剛の背後にある壁が開き、そこから**全長10メートルを超える巨大な戦闘ロボット「機神(デウス)」**が現れた。金剛自身の脳波でコントロールされる、最強の鎧だ。

​「さあ、証明の時間だ。愛が勝つか、私の科学が勝つか」

​圧倒的な質量の前で、しかし侍は一歩も引かなかった。

「ああ、教えてやる。……計算だけで生きている貴様には、一生かかっても解けない数式があることをな!」

​侍の太刀が、かつてないほどの輝きを放つ。

最終決戦のゴングが、高らかに鳴り響いた。

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