第12話雷龍の片鱗 ── 小さな守護神
帝都への道中、二人の前に立ちはだかったのは、兵士ではなく「見えない壁」だった。
金剛が帝都の周囲に展開した、高周波の防御フィールドだ。
「くっ……! 刀が、弾かれる……?」
侍が黄金の太刀を振るうが、その光はフィールドに触れた瞬間に霧散してしまう。
「ハリー、気をつけて! この壁、私たちの『432Hz』を打ち消す逆位相の音を出しているわ!」
姫が叫ぶ。
金剛は学習していたのだ。愛や調和の力を、不協和音で相殺するシステムを構築していた。
「分析完了。対象を焼却スル」
フィールドの発生装置から、高出力のレーザー砲口が鎌首をもたげる。
回避不能のタイミング。侍は姫を庇い、己の背中で受ける覚悟を決めた。
その時だ。
「ワンッ!!」
二人の前に、小さな白い影が飛び出した。
「ダメだ! 下がっていろ!」
侍の制止も聞かず、犬はレーザーの光に向かって口を大きく開けた。
バチバチバチッ!
なんと、犬は直撃したはずのレーザーエネルギーを、まるで美味しいおやつか何かのように「飲み込んで」しまったのだ。
「……食べた?」
呆然とする二人の前で、犬の体が青白い光に包まれる。
小さな体が一瞬膨れ上がり、その影が巨大な翼を持つ龍の形を成した。
『グルルルゥ……ガァッ!!』
犬が吠えると同時に、口から青い稲妻が奔流となって放たれた。
それは防御フィールドの装置を直撃し、不協和音ごとシステムを焼き尽くした。
プシュン……。
フィールドが消滅し、静寂が戻る。
そこには、満足そうに「ゲップ」をして、尻尾を振るいつもの白い犬の姿があった。
「まさか……君はただの犬じゃなく、古の『雷龍』の幼生体だったのか?」
侍が問いかけると、犬は「何を言ってるの?」という顔で首を傾げ、姫の足元に擦り寄った。
姫がクスクスと笑う。
「ふふ、最強のボディガードね。ハリー、私たちにはまだ隠し玉があったみたい」
侍は苦笑し、頼もしい相棒の頭を撫でた。
「頼むぞ、大食らいの神様。……さあ、道は開けた。帝都へ突入する!」
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