第11話黄金の軌跡 ── 恐怖を断つ一太刀
聖域の出口には、やはり待ち伏せがあった。
だが、今の侍に焦りはない。
「出てこい。隠れていても、その殺気は隠せないぞ」
侍が静かに告げると、瓦礫の陰から巨大な人型兵器が姿を現した。
『機甲兵・タイタン』。
全身を分厚い複合装甲で覆い、歩くだけで地面を揺らす、帝国の重戦車だ。
『対象発見。……粉砕スル』
タイタンが巨大な鉄槌を振り上げる。その質量は、まともに受ければ岩盤ごと粉々にする威力だ。
姫が息を呑む。以前の侍なら、避けるので精一杯だったはずだ。
だが、侍は動じない。
「……見切った」
彼はゆっくりと、腰の太刀に手をかけた。
鞘の中で、刀身が「432Hz」の共鳴音を微かに奏でている。
ドォォォン!
鉄槌が振り下ろされた瞬間、侍の姿が陽炎のように揺らいだ。
「一閃」
黄金の光が、闇を一直線に切り裂いた。
金属がぶつかる甲高い音はしなかった。
まるで熱したナイフでバターを切るように、侍の太刀はタイタンの分厚い装甲を音もなく通り抜けていたのだ。
ズ……ズズ……。
巨大な兵器が、斜めにずれて崩れ落ちる。
切断面は赤熱し、そこから黒いオイルと、金剛が組み込んだ「制御コード」の火花が散っていた。
「……軽い」
侍は太刀を見つめた。
今の一撃は、腕力で切ったのではない。この刀が、相手の「悪意」や「構造的欠陥」を勝手に見つけ出し、そこへ導いてくれたような感覚だった。
「すごい……! あの巨体を、一撃で?」
姫が駆け寄る。
「ああ。この刀は、もうただの鉄の塊じゃない。君への想いが乗っているからな」
侍は崩れ落ちた敵に背を向け、前を見据えた。
「行くぞ。金剛が待つ帝都へ。……この光で、あいつの歪んだ野望を断ち切る」
夜明けの風が吹き始めた。
黄金の太刀を携えた侍、復活した姫、そして神獣の片鱗を見せる犬。
反撃の狼煙は上がった。
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