第2話 天才薬剤師 黒羽真墨

真墨は、優太に薬の説明をするため、小児科病棟を訪れていた。夏だというのに、白衣の上から赤いチェック柄のブランケットを羽織っている。

用事が済み、薬局に帰るため廊下を歩いているとき、「おい。」と背後から声が聞こえた。振り返ると、パジャマを着た、目付きの悪い男児が経っていた。


「……原因が全く分からない。」

貴芦は、頭を抱えていた。今日の患者は、小林香菜。中学生の女子だ。最近、頭痛や腹痛を訴えて、何度も病院に通っている。

「先生、娘はなおるんでしょうか?」

香菜の母が、涙目で聞いてきた。

「それは、今の段階ではなんとも…」

貴芦は、唇を噛んだ。


「ねえ、君。これから薬は君が運んで。もう小児科行きたくない。」

奥の部屋から、白衣姿の真墨が出てきた。

「真墨君!ちょうどよかった!是非君の意見を聞きたい!」

「いや、話してるのは私……。」

真墨は、嫌そうな顔をしたが、何かを思い出したように、「いいよ。」と返事をした。

「おお!ありがたい!」


「あの、白鳥先生。この方、顔色悪くないですか?」

香菜が、心配して声をかけた。真墨の目の下に、濃いクマができていた。

真墨は、その呼びかけを無視して、香菜の全身を見つめた後、「わかった。」と呟いた。その場にいた全員が、目を丸くした。

「小林香菜は、銅中毒だ。」

香菜は、初めて聞く言葉に戸惑っている。

「君、短距離選手でしょ。」

真墨が、淡々と告げる。

「え、なんでわかったの?」

香菜の目が、大きく見開かれる。

「日焼けしていて、股関節周りにに筋肉がついている。大方部活動中に、やかんにスポーツドリンクを入れてしまったってところかな。」

そう、長年湯水道水を沸かしたやかんには、水道水中の銅が付着していることがある。酸性のスポーツドリンクによって、銅が高濃度で溶け出し、それを飲んでしまうと、香菜のような症状が現れるのだ。

「じゃあ、私は医者じゃないから、後の判断は任せる。」

真墨は、貴芦の方に視線を送った。

「素晴らしい観察眼だぁ!!!まさか部活が原因だったとは……盲点だったよ!」

貴芦は、目を輝かせていた。

その後、小林香菜は、適切な処置によって、回復した。


「で、協力することって何だ?」

貴芳が、不思議そうに真墨に問いかける。

「君、運動神経良いでしょ。ちょっとついてきて。」

二人が訪れたのは、小児科病棟だった。


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アブノーマル・ドクターズ コメディ、シリアス大好き野郎 @Hade

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