第3話
「爵位あげたい……」
「要らない!」
お兄様の悲痛な声に、私は断固とした拒否を見せるのだが、お父様が歯を食いしばった。
「……王命でソフィアに爵位の継承は認めないそうだ……」
「だから要らないって!」
貴族令嬢として生活するのも無理難題なのに、夫人としての生活なんてあり得ない! 絶対無理! 断固拒否!
「……ソフィア諸共平民へ落とすなど……あるまじき屈辱」
「巻き込まれた感よね。やはり帝国へと身を寄せ……」
「それはしない! 大丈夫! むしろ養うだけの甲斐性はあるし!」
むしろ平民大歓迎! 自分の事は自分で出来るし、稼ぐ事だって出来る! 自給自足だって大丈夫だ!
そんな野蛮な事できませんわ、おほほ~なんて言うような性格でもないし、そんな令嬢らしい事は皆無なのだから。
ただ、相手がどう思うかだけの問題でなのだけれど……文句を言うようであれば放置しても問題なさそうかな?
だけれど、家族は違うようで、厳しい目線を私に向けてきた。
「絶対駄目だ!」
「お金に苦労かけさせるつもりはないぞ!? お前は一生俺に養われておけ!」
「衣食住、ルイに面倒見させます!」
「兄様を支えて今以上に領地を潤わせますから!」
うわ~ぉ。愛されてるぅ~。家族の愛が重いー。
思わず心の声すらも棒読みだ。きっと今、私はチベットスナギツネみたいな表情をしているだろう。
……甘えていたら見事なニートが出来上がる。引きこもっていても苦労しないという事なのだから。
「うちが受け入れを拒否したら……」
「行く所がないのは自業自得だろう」
バッサリというお父様の言葉に、私は断固拒否という姿勢が貫けなくなる。
何をしたのか分からないが、それはそれで良心が痛むというか……見捨てるようなものだからね。
「一体その人は何をしたの?」
「そういえば……姉様と結婚なんて罰ゲーム、誰が……」
いっそ見捨てても良いと思える程の何かをしていてくれると、こちらとしても心が楽なのだが。
婚姻はしてやるが、勝手に一人でやってろと放り出すのも一つの手だと思ったのだけれど、エディがとんでもない言葉を口にしやがった。
「誰が罰ゲームだ! 誰が!」
「いや、平民落ちの時点でゲームじゃなく罰だった。姉様が巻き添え罰ゲームだ」
あぁ、一体どうしてこんな生意気になったのだろう。顔はとんでもなく可愛いのに。
お姉ちゃん悲しいよ……。
「どうやら特待生として入って来た平民に対して、悪質な虐めを行ったそうでな。同じように平民になれとの意向だ」
ん? 虐め?
どこかで聞いた事あるような話だな。
私がしばらく考えていれば、まさかの言葉がお父様から飛び出した。
「確かノエル・バール公爵令息だったか……悪事がバレ、婚約破棄となり除籍されたと……嫡男だった筈だが……」
「なぁあんですってぇえええ!!???」
バンッと思いっきり机を叩いて立ちあがった私に、皆は驚きの視線を向けた。
しかし、それどころではない! だって私の最推し! ノエル様なのだ!
婚約破棄に追放は学院の卒業パーティの時だ。まだ半年程あるというのに……除籍されて、既に王都をたっている!?
「王命で結ばれた王女殿下との婚約が破棄!? 除籍!?」
ゲームでは除籍まで書かれてなかったけれど、確かに追放となるのだから除籍になってもおかしくないが……一体、何が起こっているのだろう。
あ~! 学院への入学は来年だし、半年後にノエル様の命を救って学院に入ってから聖地巡礼しようと思ってたから、王都になんて行ってないし! 情報もない!
何も分からず頭を悩ませていれば、お母様はハンカチを取り出し、自身の目に当てた。
「……ソフィアがちゃんと貴族の事を勉強してくれていた……」
ゲーム限定の事だけどね!
とは言えないから黙るけれど。
……うん、他の事は全く分からないよ。勉強もしてないよ。ごめん、お母様。
「婚約破棄の上に辺境への追放。それだけでなく、平民を虐めたとの事で平民に落とすという処罰の方法らしいわ。失礼すぎるわよね」
確かに平民落ちは貴族にとって苦痛以上のものだろう。私は別として。
というか、何故に私?
「辺境の野蛮な娘と共に夫婦となれ、というのが王女殿下の意向だと……なんという失礼な!」
「そんな! 否定は出来ませんが!」
「確かに姉上は野蛮ですけど」
「おい」
なるほど、確かに王女殿下のように淑女教育をしっかり受けた方との婚約から、辺境の平民らしきガサツ娘との婚姻。天と地、月とスッポン。
その差に対して反論のしようもないが、家族からの扱いが酷い。あれ? 愛はどこにいった?
「そんなふざけた理由! 勝手にこっちに向かわせておる事など知るか! 断りの手紙と共に兵をあげ……」
「いやいやいや、受ける! 受けるから!! 結婚する!!」
戦争駄目! むしろ断って、それこそノエル様が魔物の森に放置されたら、どうしてくれる!!
ノエル様の幸せの為、ノエル様を生かす為に頑張ってきたのに、本末転倒じゃないか!
「受け……」
「結婚……」
「する……?」
焦って言葉を放った私に驚きの目を向けるお父様とお兄様、そしてエディ。
繰り返された言葉から、私は自分が今言った言葉を理解し、顔を真っ赤に染めた。
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