第七夜 血塗られた昨日
突如父が叫びを上げ鎧の男に向かって走り出した。
聞いたことのない声だった。父から出たものだとは信じられなかった。
「愚かなーー。」
父は男の前で大きく手を広げ、立ち塞がった。
「行きなさい。教えたはずだ。お前は誰のために生きるのかをーー。」
気づけば皆が寄って集まり、私を後ろに追いやっていた。
父の姿が、人の波に飲み込まれた。
「どうせ殺される。お前だけでも逃げろ。」
細身の男がそう言い私の手を引っ張った。
皆の背中で父が見えない。
細身の男は私を城門まで連れていったが、門を抜けるところで門番が二人出てきた。
私は振り返った。
皆が兵士に切り付けられ、空気は赤く澱んでいた。
それでも彼らは丸腰のまま武装した兵士に立ち向かっていた。
同時に父の体が血を吹き出し膝から崩れるのを遠目に見た。
「見るな。見ては行けない。」
あの騒ぎの中箱を落としていた青年も駆けつけてきた。
青年は細身の男と共に門番に飛びかかった。
「行け。行けーー。」
「振り返らないで死ぬ気で走れ。」
二人はそう言いながら、門番を足止めしてくれている。
見ると切るものを無くした兵士が武器を掲げ追ってきていた。
私は背を向け走った。
私を守ってくれた人たちを置いて、ただ走った。
広い平原を抜けて、遠くに見えた森を目指して。
ただ、走った。
涙をこぼしながら。
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あとがき
少女は忌子であったが、元々同じ国に生きた奴隷の彼らは、
最後まで少女を守り抜こうとした。彼らは元は兵士であり、農民であり、貴族であったのです。死ぬ間際でさえ、彼らは国民としての矜持を捨てませんでした。
少女は距離を置かれていたと思っていましたが、
本当は距離を置いていたのは少女自身でした。
周りとただ髪色ひとつ違うだけ、少女はその違いひとつで心を閉ざしてしまっていました。読者の皆様はそんな経験ありますか。
あとがきにするには勿体無いくらいの文章になりました。
これからもどんどん上げていくので、もしよろしければ、
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これからもよろしくお願いいたします。
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