第四夜 少女の知らぬ想い

「こんな大きな布ーー。本当にいいのか。」

父にしては珍しく驚いたようだったが、

私からしてみれば今もなお血の流れる痛々しい父の傷には見合わなかった。

「近場にある物の中で、この木箱だけが全く動かされていない、

きっと価値のない物なんだろう。二人なら持っていけるな。」

そういうと管理人は父と、私の順で目をみた。私が睨みつけると、

彼は申し訳なさそうに、あるいは悔しそうに俯いた。

「すまなかったな、お前たち。私も仕事なんだ。」

彼はそう呟くと元の場所に戻って行った。

私は父の側により傷口をみた。幸いどの傷も深くはないようで、

血が出ているのは当たりどころの悪かった一部分であった。

「父さんは大丈夫だから。あの男も力を入れてなかったようだ。」

私は彼の方へ振り向いた。

私が睨んだことは、彼を恨んだことは間違いだったのだろうか。

私の胸には、やり場のない感情が渦巻いていた。

「さあ、二人でこれを持っていこう。こんな大きな布なら、

みんなの服も直せるし、それなりのかけ布団にもなるだろう。」

自分が傷ついた時でさえ父は他人のことを考えていた。

「木箱の上から布を下ろしてくれないか。大丈夫父さんが受け止めてやるから。」

私は少し暗い気持ちのまま、三段積み重なった木箱の上によじ登り。

はじから布を剥がした。

その時足元からは聞きなれない金属のような音がしていた。

父は私を心配してくれていたが。

私も成長したので木箱からはすんなり降りることができた。

その様子を見て父は少し驚いていたが、

「もう子供扱いはできないな。」と呟き、布を手早くまとめた。

そして二人で布を持ち小屋へ急いだ。


ーーーーーーーーーー

あとがき


少女の年齢は曖昧なままですが、10〜20の間の歳であればどのようなイメージであっても話の筋に問題はありません。

ぜひご自身の感情が一番入りやすい年齢で読み進んでみてください。

あるいは複数の視点を持ってみても楽しめるかと思います。

これからもどんどん上げていくので、もしよろしければ、

フォローといいね、称賛していただけると励みになります。

これからもよろしくお願いいたします。

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