第3話 栄養素
ゲンドゥルは、アーサーの部屋に静かに入っていった。
「おい、アーサー様。動くな。」
背筋が凍りつくような鋭い声で、ゲンドゥルは、アーサーに告げた。
「はぁ?!お前、下女の分際で…」
なんとか起き上がろうとするアーサーだったが、顔をしかめて、ベッドに再び倒れ込んだ。
「こんなに酷い症状になるまでイカれた宗教が根付くとは……、人間も堕ちたねぇ。」
「何を……するつもりだ……。」
アーサーは、恐怖で冷や汗にまみれている。
「貴方の病気とやらを治す。動くと手元が狂う。」
彼女は、淡々と告げ、アーサーに右手をかざした。
「ミネラルカロテンビタミンリンカルシウム……」
謎の呪文を唱えている。
「ギービング!」
ゲンドゥルの雪のように白い肌が、青白い光を放った。
次の瞬間、アーサーの身体が、まるで羽毛のように軽くなった。
「は?な、何が起こった?」
アーサーが勢い良くベッドから飛び起きた。
それと対比するかのように、ゲンドゥルの身体が、一瞬ふらついた。まるで貧血を起こしたかのように。
「私の血液中にあった栄養素を、貴方に与えました。貴方は栄養不足で、貧血を起こしていました。今注入した栄養素は、すべて野菜からしか摂れません。」
ゲンドゥルは、息を整えている。
「そ、そうか。一応、感謝しといてやる。……待てよ…その知識、その魔力……、もしかしてお前は……。」
アーサーの目が、大きく見開かれた。
ゲンドゥルは、静かにアーサーを睨んだ。
神に愛された種族 コメディ、シリアス大好き野郎 @Hade
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