第1話 無愛想なメイド

「アーサー様、今日から新しい下女が貴方様にお使えします。ぜひ、顔をみてやってはいかがでしょうか?」

執事、ジャックの柔らかい声が聞こえる。

「どんなやつだか…まあ、俺様の下僕になるのなら、誰でもいいけどな。」

彼、アーサー:グランド:ゴールドスミスは、由緒正しい貴族のお坊ちゃまだ。

美しい短髪の黒髪、少々吊り上がった切れ長の目。まあ、いわゆるイケメンってやつだ。しかし性格は、傲慢そのもの。召使いにはきつく当たる。学校のクラスメートにも、威張り散らす。


「さあ、こちらへ。アーサー様にご挨拶を。」

ジャックが、下女を連れてきた。

アーサーは、思わず息を呑んだ。

その下女は、端正な顔立ちだったのだ。

美しい長い銀髪、アクアマリンのような、透き通った切れ長の大きな瞳、鼻筋の通った小顔だ。しかし、前髪で右目を隠している。

「ははーん、お前が新しい下女か。なかなかきれいじゃあないか。これからこき使ってやる。名は?」

一瞬、下女の目が鋭く光ったような気がした。

「ゲンドゥル:ネルヴァ:ウィズダム。」

彼女は、小さく呟いた。

「なんだって?声が小さい!」

アーサーが、顔をしかめた。

しかし、彼女は怯える様子もなく、堂々と、

「声帯の状態は、人それぞれ。」

と、答えた。

アーサーは、舌打ちをして、去っていった。下女に反論され、プライドが傷ついたのだ。

「これからこき使ってやる。覚悟しろ。」

彼女の端正な顔は、微動だにしなかった。


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