第二章

2-1.朝の日課

「11月って、ハロウィンとクリスマスの真ん中で、なんだか雑に扱われすぎるよね。」


店の販促について考えながら、別にそれを考えたからこの話題を出したんですよ、という説明は一切なく、わたしは今日も、おはようのすぐあとに、前提も文脈も無視したどうでもいい雑談を投げる。


 「だな~」


少し間延びした、やわらかな、聞いているんだか聞いていないんだかわからない相槌。それでも、このあたりのものとは違う、穏やかで独特のイントネーションの彼のその、呼吸のような相槌を聞くのは、わたしの毎日の本当にささやかな楽しみになっている。


毎朝、時報のように決まった時間に現れる彼の、わたしとは違うところにあるらしい境界線をうっかり踏まないように、この柔らかい返事が得られる話題選びをする。それは、客商売をしているわたしの腕の見せ所だった。

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