第12話 燃えよドラゴン!

 古川雑貨店


 「ダメったらダメ!」と香は智也を叱っていた。

「ねぇ!買ってよ!仮面ライダーのバイク買ってよ!」と智也はオモチャをねだっている。

香は、「ウチはそんなにお金ないんだから、

〝右から左〟に物を買えないの!」と言い放った。

智也は、「だったら〝左から右〟に買えばいいじゃん!」と屁理屈をこねた。

香も流石に「う!」と言って言葉につまった。

 それを横から聞いていた婆ちゃんが、大笑いして、「頭のいい子だよ、将来、医者にすればいい!」と香に話した。

 そんな時、庭から「アッ!アッ!ウアチャー!」と声が聞こえて来る。

 智也が庭に出ると、そこには、上半身裸で

〝濡れたタオル〟をヌンチャク代りにする隆二がいた。

 「アッ!アッ!アチャー」とブルース・リーの真似をしている。

智也が「ちょっと似てないよ」と隆二の前で体育座りをして見物した。

 隆二は、「これならどうだ!」と濡れたタオルでヌンチャクをやり、「アッ!アッ!フォー」と

ブルース・リーを演じて見せた。

 そんな時、爺ちゃんが、「なんだ、寒風摩擦か?」と手に芋を持ってやってきた。

 智也に「焼き芋食べるか?」と聞いて、落ち葉を集め始めた。

 「アッ!アチョー」と隆二がブルース・リーをやる背中で、爺ちゃんは落ち葉に火をつけ焼き芋を始めた。

 「アッ!熱っ!熱ーアチョー!」と隆二がモノマネすると、智也が「あっだんだん似て来た!」と隆二を褒めた。

「違う!アッ!熱っ!尻がアッ!熱っ!アチョー!」と隆二の尻に火が燃え移る!

「爺ちゃん!なんで俺のすぐ後ろで焼き芋やんだよ!熱っ!熱っちゃー」と走り始めた!

智也は「似てる!似てる!」と大笑いした。

爺ちゃんも笑い、「正に、〝燃えよドラゴン〟」と感心した。

 「熱っチャー」と隆二渾身の叫びが、焚き火のそばで響いた。






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