第8話 空っぽのベッド

 塩川病院に着いた香と清一は、走って夜間入り口から入った。

 夜間受付で香は、「古川隆二は、何処ですか?

白バイ隊員の!救急車で運ばれたと思うのですが!」と凄い剣幕で受付の警備員に詰め寄った!

警備員は、「302号室ですが、今は、ちょっと‥」と最後まで聞かずに、香は走り出し、清一は警備員に会釈をし、後についていった。


 香は階段を駆け上がり、左右に首を振り302号室を見つけた。

 302号室のドアまでくると香は深く息を吸い、

恐る恐るドアを開けた。


 中にあるベッドは空っぽであった。


 そこに清一が駆けつけ、香は呆然として、バックを落とし、清一の胸に抱きついて泣いた。

「隆二さん〜」と嗚咽をもらした。


横から、「どうしたの?香さん?」と松葉杖をついた隆二が声をかけた!

「隆二さん!」「隆二!」と二人は幽霊でも、見たかの様に驚いた。

「ちょっと足、骨折しちまった、大分追い詰めたんだけどな〜」と呑気な声をだし、ベッドに横になった。

 「お前な〜びっくりさせるなよ!どこ行ってたんだ?」と清一が聞くと、「ちょっと腹減ったから売店さがしたんだけど、閉まってて、外出ようとしたら、警備員に止められてさ、兄貴!何か食べ物買って来てくれない?あと平凡パンチも!」

と言うと香が隆二の胸を叩き始めた!

「何が平凡パンチよ!もう馬鹿!馬鹿!馬鹿!

心配したんだから、智也かばってくれたから!

死んだらどうしよう!って馬鹿!」と胸を強打した!

隆二は、「わかったから、止めてくれよ、肋骨まで骨折しちまう!ゴホ!」と咳をした。

香は、清一に止められ、ようやく落ち着いた。


 清一は、「何か買ってくるよ、悪いな慌てて来たから、財布忘れた、金あるか?隆二?」と言った。

「制服のポケットに千円札が入ってるから!」と隆二は言った。

清一がポケットを弄るまさぐとクシャクシャの違反切符が出てきた。

「なんだお前、また違反切符握り潰したのか?」

と聞くと「だって子供が熱出て病院いく親子にスピード違反の切符切れるか?もう机ん中握り潰した切符でいっぱいだよ!」と悪びれもなく笑っている。

「そんなんじゃ出世できないぞ!」といい、千円札を持って清一は買い出しに出かけた。


 病室に二人きりになった、香と隆二は気まずい空気を作った。

 香は、何故あれほど、隆二を心配してムキになったのか?自分でもわからなかった。


 香は、「お婆ちゃんとこ無事だって電話してくるね!」と言って嬉し涙を隠す為に席を立った。


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