第6話 婆ちゃんの教育

 香は、土曜日という事もあり、智也の書道教室の様子を伺いに古川雑貨店を訪れた。

 入り口のガラス戸を開けようとすると、隆二の乗った白バイが店の前まで来た。

 隆二は、白バイを降りるとヘルメットを取り香に挨拶をした。

 「この前は、悪かった、確かに子供をパチンコ屋に連れて行くのは、どうかと後で思って‥」と先日の事を謝った。

香も「いえ、私こそせっかくオモチャを取ってくれたのに、随分な事を言って‥」と同じく謝った。

 二人は、なんとなく気まずい思いをして、店の前でなんとなく、話し始めた。

 すると、中から婆ちゃんの「智也!ダメじゃ!」という声が響く。

智也は、「だって、書道教室、明日もあるでしょ!明日にする」と言ってパズルで遊ぶのを一向に止めなかった。

 婆ちゃんは、見たこともない顔つきで、「智也!今日出来る事は、今日のうちにやる。明日に

したらダメじゃ!」と真剣に智也を叱った。

智也は、婆ちゃんに初めて叱られ、泣き出し、

「婆ちゃんの馬鹿!」と言って店から出た。

店先で話していた香と隆二をかき分け歩道に飛び出した。

その時、一台のダンプカーが商店街に猛スピードで入って来た!

「危ない!」ダンプカーに智也が轢かれそうになる!

隆二は、咄嗟に智也に飛び付き智也と共に歩道に倒れた!

ダンプカーは、猛スピードで走り抜けていく!

「智也!」香が倒れた智也と隆二の所へ駆け寄る。

智也は、ふらふらと立ち上がった。

隆二も、立ち上がったが左手から血を流していた。

婆ちゃんは、騒ぎを聞きつけ店から飛び出して来た!

「隆二!大丈夫かい!」と隆二の側に寄る。

隆二は、「あの野郎!こんな商店街に猛スピードで!捕まえてやる!」そう叫ぶと、怪我した左手でヘルメットを被り、白バイに跨りまたが

サイレンを鳴らして発車した!

ウー!と白バイはサイレンを鳴らし暴走ダンプを

追いかけた。

「隆二!気をつけるだよ!」と婆ちゃんは叫んだが、頭に血が昇った隆二には、届かなかっただろう。

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