第4話 商店街のお祭り

 数ヶ月後


 鈴木智也は、書道教室に通うようになり、暇さえあれば、古川雑貨店にお邪魔するようになっていた。

 古川雑貨店の婆ちゃんも爺ちゃんも、孫がまだいなかった為、智也を孫のように可愛いがった。

 智也は、店番をして、お店にお客さんがくると、「いらっしゃいませ!」と大きな声で出迎え、お会計になると、婆ちゃんから教わったレジを「ぼくにやらせて!」と見よう見まねで、人差し指で数字を押し、最後に〝ガチャン〟とレジがあくのが、なにより楽しかった。


 そんなある日、婆ちゃんが「智也!今日は、商店街のお祭りだよ!福引き券いっぱい残ってるから、婆ちゃんと福引きやりに行こう」と婆ちゃんは、福引き券が沢山残った冊子を見せ、智也を誘った。

婆ちゃんは、相撲をみていた爺ちゃんに留守番を頼み、祭りの福引き所に智也と向かった。


 福引き所に来た智也と婆ちゃんは、福引きの景品が現金掴み取りである事を知った。

 5等は1円玉の掴み取りで、4等は5円玉で、なんと1等は100玉の掴み取りであった。

婆ちゃんは、「こりゃ!愉快!」と智也に福引き券の冊子を渡し、福引きをやらせた。

 福引きは、全部で11回できた。

「婆ちゃんどうやってやるの?」と智也が聞くと

婆ちゃんは、「あのハンドルを〝グルン〟と回すと玉がでるんじゃ!さあ、やってごらん」と促した。

「わかった!」と智也がハンドルを回した。

グルン!ポト!と出た玉は、〝白〟であった。

係のおじさんが「残念!5等だ!」といい、プラスチックで出来た1円玉が山ほど入ってるケースをだした。

婆ちゃんは「智也!ほれ、掴んでおいで」と言い、智也はプラスチックケースの中に手を入れ、

めいっぱい1円玉を掴んだ!

手を抜くと智也の手には20枚程の1円玉があった。

智也は、「やった!」と1円玉を一枚、一枚数えている。

婆ちゃんは微笑んでそれを見ていた。

そのあと、何回やっても5等しか出なかった。

最後の1回、婆ちゃんが「どれ、アタシが引こうかね?」とハンドルを握って、何やらお呪いを

唱えると「えい!」とハンドルを回した!

すると〝金色の玉〟が出た!

チン!チン!チン!「一等おめでとう御座います!」と福引き所は騒ぎになった。

智也は、「やった!婆ちゃん!」とジャンプした。

すると、福引き所の奥から非番で詰めていた、息子の隆二が出て来た。

「婆ちゃん!すげえな!どれ、いっぱい掴んでやるから、兄ちゃんに任せな!」と出張って来た。

「隆二!任せたよ!五十枚は取りな!」と婆ちゃんはハッパをかける。

福引き所は100円玉のケースに腕まくりをして、手を突っ込む隆二に注目が集まる!

「そりゃ!」と山ほど100円玉を掴み手首を、

パワーショベルのように曲げ、ケースの丸い口から出そうとした。

「痛って」隆二の右手首は、挟まってしまった。

抜くにも抜けず、100円玉を離すにも離せなくなってしまった!

「痛ぇ!痛ぇ!」と悶絶する隆二がいる!

「こりゃ大変だ!おい!誰か油持ってこい!」と

福引き所は騒然とした。


 結局、隆二は皆んなに手を抜いてもらい、

智也は、残念賞として、100円玉10枚貰った。

婆ちゃんは、笑いながら隆二のケツを叩いて店に戻った。

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