第2話 母の疑い

 翌る日


 香は、智也を連れ古川雑貨店を訪れた。

理由は、智也が持ち帰った〝オモチャ〟である。

ママレモンのお使いを頼んだのだが、智也は、〝オモチャ〟を持っていた。

香がどうしたのか?と智也に問うが、婆ちゃんに貰ったの一点張りである。

香は、智也が万引きしたのではないか?と疑い、その真偽を確かめにきたのである。


 「ごめんください!」と香は勢いよくガラス戸を開けた。

「はい、はい」と白髪の爺ちゃんが出て来た。

「あの〜昨日この子ママレモン買いに来たと思うんですが、オモチャ盗りませんでしたか?」と昨日智也が貰って帰ったオモチャをだした。

「嘘ついてないもん!婆ちゃんに貰ったんだもん!」と首根っこを香につかまれ、バタバタしている。

白髪の爺ちゃんは、「昨日かい?婆ちゃんは今留守でな?はて、確かに昨日ママレモンが売れたのは、知ってるが、オモチャの事は聞いとらんな〜」と首を傾げている。

香は、入り口付近にあった歯磨き粉を見つけると、一つだけおまけの〝オモチャ〟がついていない事に気がついた。

「智也!アンタ、これとったでしょ!」と首根っこを更に吊るし上げた!

「とってない!婆ちゃんにもらったの!」とバタバタする。

「まあ、まあ、奥さん、少し待ちなさい、今、婆ちゃんが帰ってきたらわかるじゃろ、ワシはその子は嘘ついてないと思うぞ」と爺ちゃんは、香をなだめた。

 その時、一台の白バイが店先に停まった!

「え!ウソ!警察!」と香が振り向く!

智也は、「おまわりさん⁈僕とってないもん!」と泣き始めた。

白バイ隊員がバイクを降り店に入る。

爺ちゃんは、慌てて「大丈夫じゃ大丈夫!」と慌てる親子をなだめるが、香と智也は、パニックである。

智也は香を振り解き、走りだした!

バイクを降りた白バイ隊員は、ヘルメットを取り

店の中へはいるなり、「婆ちゃんは?腹減った!」と爺ちゃんに話しかけた。

「こりゃ!隆二りゅうじ勤務中だろうが!

お前が白バイで帰ってくるから、混乱しとるだろうが!」と叱りつけた。

爺ちゃんは、「安心してください、息子の隆二じゃ!」と取り乱した香と智也に伝える。

「え!」と二人はバタバタするのを止めた。

 そんな時、婆ちゃんが、店先から、「ただいま!」と帰ってきた。

全員が『婆ちゃん』と叫んだ。


 「そりゃ、お母さんの誤解だよ!確かにあたしが〝オモチャ〟をこの子にあげたんだよ!なあ智也!濡れ衣だったね、散々じゃ!」と笑い飛ばしたが、すぐに厳しい顔つきになり、「こりゃ隆二!あんたが白バイで帰ってくるから、大騒ぎになるんだろうが!」とこづいた。

隆二は、「しょうがねえだろ!まったく!」と香の方を見て顔を赤くした。


 智也はようやく泣き止み、婆ちゃんが用意してくれた野菜スープに手をつけた。

 香が店内にあるチラシに目をつけた。

〝書道教室 生徒募集〟と書いてある。

香が「書道教室やってるんですか?」と聞くと

婆ちゃんは「長男の清一せいいちが2階で、休みの日に教えてるんだよ、良かったら智也くん通うかい?」と答えた。

 「兄貴に!やめた方がいいと思うけどな!」と隆二が口を挟むと、婆ちゃんは、「清一はリッパにサラリーマン、新聞記者やってんだよ!アンタの方が警察官のくせに、よっぽど悪タレだわ!」と隆二をまたこづいた。

香と智也は、ようやく安心して、笑った。


 

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