後天性アレルギー持ちの勇者 (全4話)

(第二話、弟子をとる)



「死んでしまうとは何事だ!」


 あれ? また死んだ? 俺……

 

「クソが! お前はとんだガミガミガミガミ……」


 何度もいうことじゃないと思うが、俺は後天性の卵アレルギーになった。それも強烈な。

 だから、大好きなケーキもパンも我慢を強いられたのだが……

 そのストレスで死んだ? いやまさか……


「王様! 落ち着いてください! 今回はそのもの、街の入り口で泡を吹いて倒れていたそうではないですか」


 あ、街の入り口までは行ったんだ。俺。


「と言うことは……この城の周りにいる雑魚モンスターにも勝てなかったのか!

 お前は聞きしに勝る(ピー)の(ピー)だな! クソが!」


「王様! 状況を見るに、このものの卵アレルギーが発症したのではないでしょうか!?」


「何ぃ!? お前、あれほど禁じたパンを食べたのか! クソが! この(ピー)から産まれた(ピー)が!」


「落ち着いてください! ……おい勇者。何があったのだ。街の入り口で」


「えっと……」


 俺は記憶を遡った……


 * * * * *


 俺が街を出て行こうとした時……


「お待ちください! 勇者殿!」


 なんか若いのが後から走ってきた。


「ぜひ! 私を同行させてください! あなたのような勇者に憧れているものです!」


「うむ……弟子は取らない主義だし、ソロプレイが俺のやり方なんだがな。

 そんな目で見られると悪い気はしない。なを名乗れ」


「はい! トニーと申します! 剣士として修行中の身で、まだまだ『卵』ですが! ゆくゆくはあなたのような勇者になりたくて!」


「トニーか。確かに、俺も永遠には生きられん。俺の剣を学ばせることに意味があるかもしれん。よろしい。

 ついてきなさい」


「は! ありがとうございます!」


 と言って……握手をしてからの記憶がない……



 * * * * *



「な……なんとまさか……」


「『剣士の卵』に触っただけで発症してしまうのか!! アレルギーが!!」


 衝撃の事実だった。


「オマエそれ、育てる以前の話だろうがあ! ああ!? この(ピー)の(ピー)さえ満足にできない(ピー)野郎が!!」


「王様落ち着いてください! このもののアレルギー、思ったより根深い問題です!」


 そうして、俺のせいでトニーと言う若者は故郷に強制送還させられてしまった……

 そして、俺と出会わせないために村から出ることを禁じられた。



 * * * * *



「とにかく! もう慎重になれよ! 注意していけよ! (ピー)!」


「誰が何の卵かわからぬ。極力、人に触れるんじゃない!



「は、はい! それでは行って参ります!!」


 俺は、パンを食うことも、人に触ることも、禁じられてしまった……。

 卵アレルギーは、怖い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る