後天性アレルギー持ちの勇者(全4話) お題「卵」
(第一話 後天性アレルギー)
俺は健一。最強の勇者だ。
俺が最強たる理由を説明すれば、「あ、この人は最強なんだ」と納得していただけることと思われる。
俺が最強の理由それはたった一人、ソロプレイで魔王を倒し、封印したことだ。
そんな俺は今、王の前に跪いて、怒られている。
先方がさんざん申すはこの一言だ。すなわち……
「死んでしまうとは何事だ!?」
……
その問いに対しては、本当に俺自身が聞きたい。
俺はいつ死んだ!?
怒られ慣れてない俺は、王様に怒鳴られながら記憶を辿っている。
魔王を討伐した今、王が俺に依頼したのは、西の山脈にある洞窟に眠る宝箱を手に入れることだった。
何せ魔王をたった一人で討伐した俺だ。楽勝なミッションのはずだった。
それが、のっけから死んだ。なぜだ?
王の隣にいる大臣が、ガミガミ言っている王様に割って入った。
「恐れながら国王。この者、旅立つ前の祝勝会いわゆる……前祝いのパーティーの最中に、泡を吹いて倒れたとの報告が入っております」
「前祝いのパーティーで死ぬ勇者がいるか!? この貧弱者のガミガミガミガミ……」
「落ち着いてください国王。状況をもう一度整理しましょう。この者、
祝勝会のパーティーで倒れたのは、祝いのケーキを食べた瞬間だったと聞きます」
「ケーキに負けたの!? それで最強名乗っちゃうの!? お前はまるで貧弱者のガミガミガミガミ……」
「国王! ……あくまで私の予想ですが……この者、後天性のアレルギーを発症したのではないでしょうか?」
「アレルギーだと!?」
アレルギーだと!? 俺は王と同じ文言を心で繰り返した。
大臣が手を叩くと、従者がカゴいっぱいの卵を持ってきた。
卵アレルギー。主に子供が発症するアレルギーで、これが本当に厄介なのだ。
ほとんどのお菓子には卵が使用されているために、お菓子全般は何も食べられたものじゃない。
……転生する前に、友人の子供がそうだったので、その大変さを俺はよく知っていた。
「食してみよ」
卵を一つ差し出される。後天性の卵アレルギーなんて聞いたことがない俺は、
まさか自分がそんなものにはなってないだろうと思っている。
だから何の疑いもなく、生卵を割って飲み込んだ。
* * * * *
「死んでしまうとは何事だ!!」
数時間後、復活の呪文によって起こされた俺は、また王の前に座らされていた。
「卵なんかに負けるとはお前はマジモンのガミガミガミガミガミ……」
「国王! 今は勇者を罵倒している場合ではないですぞ!?」
俺は呆然と、王の罵倒と諌める大臣のやりとりを聞いていた。なんてこった。
俺は本当に卵アレルギーになってしまったというのか。最強のこの俺が……。
「アレルギーと分かれば、あとは気をつけるだけです。
このもの、冒険慣れと、戦闘に関してはエキスパート。卵にさえ気をつければ間違いなく、
依頼を達成することができるかと」
「そうだな! よし勇者! 二度とケーキは食うな! パンも食うな! クッキーも、あとその他諸々もだ!」
「は!!」
俺は、ただ卵にさえ気をつければいいんだろ。とぐらいに思っていた。
これが……間違いだった……。
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