第2話 エスちゃん♡は、わたしがまもるから

 「この世界でのんびりと、と思ったらゲーム同様のイベントが始まったじゃない」

この世界は「魔法学園都市アルカディア」と同じ世界だけどイベントシナリオまで同しなんて!

失敗してもゲームでは始まった日の朝に戻って、何度もやり直しが出来たけど。失敗しても過去に戻るなんて、匂いも味覚も痛覚もあるこのリアルな世界ではありえないから。

「一発勝負って事だよね」

最初のイベントは、ルームメイトが生徒会にランダムに紛れ込む秘密結社「夜明けの爪」の刺客に洗脳されたり入れ替わられたら終了。

ルームメイトを守り切ったら固い絆で結ばれた相棒となって、二人で次々とランダムに送り込まれてくる秘密結社「夜明けの爪」の刺客たちから学園都市を守りながら、イベントごとに生徒たちとも、そのつど深か~い絆♡で結ばれていく。

「・・そんなゲームだったのよ」



「今度の週末の街での買い物、取りやめね」

廊下を歩きながらエスターテがメリーナに話しかける。

「そーよね、残念。美味いスイーツ沢山食べたかったな」

「私は生徒会で使う備品を購入したかったんだけどね」

ちょうどエスターテが生徒会の話題をふってきたのでメリーナが様子見の質問をする。

「エスちゃん♡、生徒会の仕事って忙しいの?やってて楽しい?」

「え、そこまで忙しくはないわよ。上級生と接する機会が増えて嬉しいけど」

「え~、そうなんだ。上級生か・・。みんな素敵な人たちだよね♡」

「そうよ、素敵な人たちばかりなんだから」

そう言いながらエスターテは少し顔を赤らめながら答えていた。



エスターテが生徒会室に向かって行ったことに少し不安があったがメリーナはその間にやるべき事が有った。

「セージ先生、失礼します。今朝の遅刻番の件でご相談が・・」

「やあ、エスターテ君か?何か問題でも?」

そう、メリーナのシークレット固有ギフト「匂いフェチ」は相手の身体にじかに触れながら匂いをかぐことで、その相手の姿に変身でるようになり、相手の匂いの好感度によっては能力の八割を使用可能になる特殊能力を秘めていた。

「はい、遅刻者に配る切符ですが?チャイムが鳴っているにもかかわらず受け取りを避けるため強行突破してしまう者が居るものですから」

「チャイムがまだ鳴り終わっていないならグレーゾーンだが、大目に見てやってくれ。なり終わっていたにもかかわらず強行突破する者がいたら、例え上級生であっても特徴を覚えて報告してほしい」

「わかりました。では失礼します」

と言いながらエスターテふんするメリーナは少しわざとらしく立ちくらみを装ってセージ先生に抱き着く。

「だめだよ。こんな、わざとらしい方法でアプローチしてきちや」

「先生からは素敵な獣の匂い♡がします・・」

そう言いながら顔を赤らめると、セージ先生はエスターテを引き離すと軽いウインクをしてから口を開く。

「今日が、新月で良かったね。満月だったら、君に悲しい思いをさせていたかもしれない」

そう言うと、エスターテに退室するように促した。



あぶない、あぶない。危うく匂いの快楽に陶酔しておもわず失神する所だった。

でもこれで、大幅なスキルアップよね。

「エスちゃん♡は、わたしがまもるから」


メリーナはそう、強く胸に秘めていた。

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