第13話
結論から言えば、森には非常に深刻な問題が発生しており、早急に対処が必要な状態であるとアレン達は告げた。
はっきり言って、そこまで状況を問題視していなかったリリーは思わず面食らってしまう。
「一体、どんな問題が起こっているんですか?」
「森には厄災の兆候があり、森全体へ穢れを撒き散らしているような状態なのです。通常、このような事態が起きた場合には厄災の大元となる何らかの物体や生き物が存在します。ですが今回、森全体へ魔力を行き渡しても、その発生源は見つかりませんでした。これは事態の収束が現状不可能であることを示しています。」
「それは……。」
それは、確かに大問題かもしれない。
思った以上の知らせに、リリーは何も言えなくなってしまう。
一刻の猶予もない状況であるためか、セレーネが真剣な表情で口を開く。
「リリーさん。無礼なのは百も承知ですが、今すぐに、ここに住むもう一人の方にお会いさせてくだるかしら。」
「も、もちろんです!」
場の緊迫した雰囲気に吞まれて、リリーは考える間もなくアメリを呼びに行く。
しっかりとフードを被せてリビング兼客間に連れて行くと、顔や肌すら見えないほどしっかりと全身を覆った人物に二人は面食らっていたが、すぐに真面目な顔で居住まいを正す。
「初めまして、俺はアルビダ王国ダル・ダナ騎士団、第4部隊所属のアレンと申します。失礼ですが、あなたは……。」
「……。」
む、無視!? リリーは思わずギョッとしてアメリのフードの下を覗くと、まるで何も聞こえていないかのように澄ました顔をしている。
ほとんど無表情で顔には何の感情も浮かんでいないが、「話す価値もない」と思っているのがリリーにははっきりと読み取れた。
リリーは頭の中でアメリをぽこぽこと叩きながら、慌ててフォローする。
「あの、彼女はアメリと言います! アメリは……あまり会話が得意ではないのです。本当に、悪気があるわけではなくて……。すみません、どうかご容赦ください。」
「そ、そうなんですね……。」
アレンはすっかり苦笑いだ。リリーは頭の中でさらに3回、アメリをぽこぽこと叩いた。
そんな中でセレーネが静かに一歩前に出て、アメリへと近付く。
「お初にお目にかかります。私はセレーネ・フォンタネアと申しますわ。この家やその周辺で感じた魔力は、やはりアメリさんのものですのね。これほど強い力を持つ魔法使いには、お会いしたことがございません。国の筆頭魔法使いでさえ、これほどまでかは……。すぐ隣の部屋で、これまでの会話は聞いておりましたでしょう? そこで、アメリさんにお願いがあるのです。」
セレーネは自身の豊満な胸の前で指を組み、切実な眼差しでアメリへ訴えかける。
潤んだ瞳には、内容を問わず頷いてしまいそうな憂いと可憐さが浮かんでいる。
「中央の都市へ同行し、どうかこの問題の解決にお力を貸していただけませんか?」
「我が? 何故?」
―――初めて口を開いたと思ったら!
リリーは今この瞬間に、初めて「ストレスで胃が痛む」という経験をした。
アレンもセレーネも、まさかの発言に呆然としてしまっている。
(こんな状況、私に一体どうしろって言うのよ!?)
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