第7話
村に出掛けて以降数日、リリーは話に聞いた狂暴な野生動物を警戒する日々を送っていたが、幸いにも以前と変わりない日々を送っていた。
裏庭の野菜はよく育ち、数日もすればジャガイモや人参を収穫することが出来る。野菜の育つ速度に疑問を抱くこともあったが、リリーは家庭菜園をしたことがなく、そのあたりの知識がなく深堀りするほどの興味も無かったため、細かいことは気にしないことにした。食べ物があるのは良いことだ。
もう一つ、アメリの成長速度も落ち着き、あれ以上大きくなることもなさそうということが分かった。これもまた良いことだ。食事量は相変わらずだが。
リリーは家にお客さんが来ればアメリを部屋へ下がらせ、僅かなお金を稼ぎ、野菜の面倒を見て、食べ頃になったら収穫しアメリや自分の食事をこさえる日々に満足していた。
アメリは本を読んだりリリーと会話することを好み、また家事や仕事をすることがないため暇なときには森へ行き鳥や兎を捕まえてくることが多い。前にその辺をウロチョロする鼠や畑のミミズを山ほど捕まえて家に帰り、リリーを絶叫させて以降、そういったものは捕まえてこなくなった。あの時外に逃がしてくるよう強くリリーに主張され、アメリは外に出てから暫くして手ぶらで帰ってきたが……ちゃんと逃がしてあげたものと思いたい。口元の汚れは見なかったことにした。
まるで猫のようだと思う。猫にしては人ならざる美しさや異質さがあるし、実際にアメリは人ではないのだが。
リリーは以前よりも……孤独ではなくなった。
孤独は病のようなものだ。
親元を離れ、村はずれで生活し、人との関わりはとても少ない。貧しく、生活も苦しい。リリーは若く精神的にも肉体的にも健康そのものであるため、実感は薄かったが、やはり寂しさや孤独は無意識のうちに人を病ませるものだ。
普通、家に現れた人でないものの面倒を見て、共に暮らそうとする者はいない。だがリリーはかつて死を感じるほど恐れた相手に食事を与え、言葉を教え、服を着せる。まるで人間にそうするように接する。これはよく考えれば異常なことだ。だが……リリーはそうした。孤独がそうさせたのかもしれないし、あるいはこれも……魔法だろうか?
とにかくリリーは、油断していたのだ。
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