第1話(3)

先へ進めば進むほど汚れは酷くなっていく。そして明らかに争った形跡も増えてきた。

 あまり気分のいいものじゃない、ずっと恐怖が付き待っとってるそんな感じだ。

 思っていたよりも広いこの部屋に気が滅入そうなのもあるが疲労はそこそこピークに達しつつある。

 今見ている通路は、ものを探すには不適切といっていいほど荒れ果てていた。さほど広くない通路にものは乱雑に落ち、その上は真っ黒。棚には銃弾が掠めた様な跡もしばしば。

 やると決めたのは、先の私であるが今の私はそれを後悔しつつある。

―明日の講義は休もう。

 

 一通り見終わり、次の列へ移動しようとした時、隣の方から何かが動く音が聞こえた。

 怪異がいるのかもしれないと思い、その場にしゃがみ込み音の方へドローンを偵察に向かわせる。

 あのドローンにはカメラが付いているわけではないので目視ではないが、飛ばしてその先で破壊されでもしたら危険性の高い怪異がいるだろうという可能性は立てられる。

 しばらくすると、何事もなかった様でドローンは私の傍に帰ってきた。だが油断は禁物だ。

 しゃがみ込んだ状態で隣の通路の方の様子を見る。

 異常なほどに汚れている。大量の黒い汚れ、雪崩の後の如く棚から落ちた資料やら機器の破片。

 いったい、何がここで起きたのか。

 さらによく見るために、少し身を乗り出す。

 怪異はいない様だった。

 そのことには安堵したが、奥に人の足の様なものが見えた気がして息が止まりかける。

 周りに危険がないことを確認し、そこへ向かう。

 心臓がバクバクとうるさい。これが恐怖由来のものなのか、好奇心から来ているものなのか私には判断が付かなくなるほどにアドレナリンが出ている気がする。

 足が見えたそこは、黒い汚れが一番酷かった。

 床では飽き足らず、天井にもそれがぶちまけられ先ほどまでに見た景色の中で一番異質だった。

 そして、その中心とも呼べる場所にはもっと異質な光景があった。

 子供の様に丸くうずくまり小さく寝息をたてる茶色い髪の人物。

 その髪の毛や体の部分によっては、埃を被っている。

 何故こんなところに人がいる?

 埃を被るほどってどういうこと?

 なんでこの周りはこんなことになってる?

 疑問が次から次へと過り、その答え欲しさに思わずその人物の顔に手を伸ばす。

「―誰?」

 どこかから声がした。

 そして、私の意識はそこで暗転する。

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影に届く光まで ニシノ @aRoeN_6248

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