祝福
彼が学校を卒業した。5クラスあるうちの3組の生徒として、38番目に卒業証書をうけとってた。みんな寒そうにしてる体育館のステージにあがった彼の目は、ちょっと潤んでるみたいにみえた。それはこちらにも彼をにじんでみせた。
式が終わってから、彼はさっさと親と帰っていった。その横顔がぬれてた。彼は 藤橋は車にのりこむまでの間ひどく苦しそうにして、口をおおったり目やほほを手の甲やうででこすったりしていた。それで、親が運転する車の後部座席で、それまで押し殺してた声をあげて泣いた。
そのくせ、あとから私のとこにきたときには笑ったりなんかした。もっとも、目は赤いし腫れぼったかったが。
彼がねえというから、うんと応えた。卒業したよっていうから、知ってるよっていった。私だってあの場にいたのだ。
それから、好きだよっていうから、 あの日みたいに返事した。
私は指先の長方形の中に彼をおさめた。もっと笑ってよと、彼の親がいった。彼は笑顔をつくった。あのころみたいな月とかなにかきれいなものに似たようなのじゃない、泣きそうな顔だった。
はい、撮るよ
私は手をおろした。
入学おめでとう、藤橋。
彼はこのあと、また私のとこにきた。で、大学の入学式があったよといった。私は知ってるよといった。
私は彼のくれた花の匂いをかいだ。
それで彼は 藤橋は、私をペチンと叩いた。それで好きだよというから、私も、好きだよといった。
藤橋は私に手をあてたままうなだれて、好きだよと もう一度いった。
好きだよ、大好きだ。
私は彼の上を向いた後頭を見つめた。
あゝ好きだよ、藤橋、すごく好きだ、愛してる!
彼を 藤橋をみてると時間がどんどん過ぎていく。
あっという間に何年も経って、また、藤橋が呼ばれて卒業証書をうけとるのを眺めた。
藤橋はやっぱりひどく苦しそうに嗚咽した。
私が長方形におさめた顔も、ほとんど泣いてるみたいな笑い顔だった。
あゝ どうして! 藤橋 藤橋藤橋! 藤橋!
笑えよ、笑ってくれよ。おれはおまえのそんな顔は見たくない!
あのころみたいに笑ってくれよ そんな そんな泣きそうなふうじゃなく、あのころみたいにきらきら笑えよ! じゃなきゃなんでおれは
あア藤橋 藤橋 好きだよ 好きだ 好きだ好きだ愛してる 愛してる!
なんで笑ってくれない 笑って! 笑っててくれよ笑って 生きてくれ!
おれがおまえを おまえを〰️〰️〰️てしまう前に、笑ってくれ!
たまらない たまらない愛してるよ 藤橋 愛してる!
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