8話「2Pなあいつ」
スキップ、スキップ、らんらんらーん♪
巨大通路を陽気に歩くゴキタランチュラ。
こんなテンションでもねーとやってられんのよ。
モンスターしかいねー巨大ダンジョン。知り合いゼロ。相方は無愛想で理不尽な天の声。そして俺はゴキタランチュラで攻撃はゲロ酸。楽しいと思うか?
あー、早く楽しくなんねーかなー。
さっさとレベル上げて「射出」覚えてー。
ゲロという名の強酸攻撃を遠距離からぶっかけて俺ツエー展開してー。
おっと、そろそろ次の落とし穴か。
目印で小石を並べておいたんだが大正解だ。マップ機能がない3DダンジョンRPGと10時間も格闘した経験がここで活きるとは、人生、なにが役に立つか分かんねーな。
どれどれ、どんなアホが落ちてるかなー……んー……なんというか、こんなことってあるんだなー。
結果から言うと穴の中には何も居ない。完全にスカだ。ただなー……。
俺は切り裂かれた落とし穴をマジマジと見つめる。
そうなんだよ。穴の中が切り裂かれてスロープみたいになってんだよ。なんでだろうなー……って、考えるまでもねーか。奴の仕業に違いない。
カマキリ。
地面をザクザクしても刃こぼれしない鎌を持つ理不尽モンスター。
まあ他にもできるモンスターがいるかもしれんが、俺の記憶の中ではあいつだけだ。
そっかー。カエルモンスターには通用してもカマキリには効果無し。それどころか罠をぶっ壊されると。ふむふむ、なるほど、一つ勉強になった。
……つーか、せっかく作った落とし穴、なに破壊してくれてんだ、あいつ。
なーんかムカムカしてきたぞ。
カマ肉養殖場では優しく飼ってやろうかと思ったけど、やっぱ止めようかな。
時々餌抜いたりしてやるか。俺は根に持つタイプだからな、覚えてろ。
「――ィ――」
はぁ、収穫無しどころか落とし穴一つ減っちまったよ。
次の穴にはカモが引っ掛かってるといいなー。
「――キィ――」
あとちょっとで「射出」覚えられそうなのにずいぶん焦らしてくれるじゃねーか、おぉ、天の声さんよー。
《……》
よっしゃ! 気を取り直して次の穴に――。
「キィィィ!!」
は?
《 †GAME OVER† 》
ボケてんじゃねぇ!!
装飾までしやがって何様だコラ!!
マジでそうなったら中二病っぽく「†††天の声†††」って呼んでやるからな!!
「ギキィ!!」
うお!? あっぶね!?
背後からの奇襲の上に連続攻撃とか卑怯すぎるだろ!?
カマキリの風上にもおけん奴め!
格上なら正面から来いや!
罠ぶっ壊すわ奇襲するわ、コイツマジで許さん!!
うっおぉぉぉーーー!!
「キィーーー!!」
正面から突っ込む俺に素早く振り下ろされる鎌。だが甘い!
前も言ったが来ると分かってれば回避は余裕なんだよ!
半身姿勢で華麗に
さあ、俺の本気を見るがいい!!
カサカサカサカサ――バサバサバサバサ――カサカサカサカサ――。
あっという間に見えなくなるカマキリ。
ふ、見たか! これが全力の逃げ足だぁぁぁ!!
進化した直後は気付かなかったが、このアベラギウム、実はゴキちゃんより身体能力がかなり高い。ゴキちゃんの素早さが100だとしたらアベラギウムはなんとビックリ150はあるだろう!
ちなみにその数字、MAXを9999だと仮定している。
そしてカマキリ。奴はたぶん300ぐらい。
その結果、何が起きるかというと――。
「キィーーー!」
もう追いついて来やがった!
横道にそれて縦穴にも潜り込んだのに察知能力高すぎじゃね!?
一瞬「は?」って間抜け面してたくせに立て直し早えーな!
「ギィ!」
ザクッ!!
あぶね!?
地面に深くぶっ刺さる鎌。そして前みたいに踏ん張ることなく軽く抜ける鎌。
ずいぶん強くなったなぁ、カマさんよぉー。お前も進化したんか?
あ、よく見たらコイツ、2Pカラーのカマキリだ。
あれだあれ、ドラゴンに喧嘩売って瞬殺された奴。
なるほどなー、そりゃ強ぇーわ。
瞬殺されたとはいえ、アレに喧嘩売るような奴が弱いはずがない。
きっとこのダンジョンではドラゴンに近い立場の奴なんじゃねーかな。
「キィ! ギキィ! キィー!!」
鎌スラッシュの技の切れもちょっと良いし、普通のカマキリより頭も良さそうだ。
ザク!
ザクザク!
ザク!
だがやはり、どんなに速くて頭が良くても所詮は昆虫。
人間の知恵とゴキちゃん以上の回避能力を持つ俺をそう簡単に食えると思うな!
カサカサカサカサ――。
「ギィィィィ!!」
あ、キレた。こりゃ怒りの咆哮だわ。
激しくなる鎌スラッシュ。
ノーマルカマキリもそうだが、こいつら沸点低過ぎじゃね? もう少し強者らしい余裕見せろや。
こうなると前と同じで単純には見逃してくれまい。
……とりあえず移動じゃー!!
「ギキィー!」
追ってくる2Pカラーカマキリ。
やはり逃げ切れん!
ここはまた同胞ゴキちゃんズに助けて貰おうじゃないか!
俺は進化して純粋なゴキちゃんじゃなくなったが、立場的には進化した俺の方が上のはず!
さあどこにいる!
「――ギッ、ギギギッ、ギィィィィィィ――」
なんだおい、その溜めモーションは?
いかにも大技なモーションじゃねーか。
2Pカラーカマキリが動きを止めて鎌をクロスし、身体がうっすら光り始めてる。
もしかして超・必殺技か?
やめとけ、俺の身体が消し飛ぶぞ。餌として食えなくなってもいいのか?
俺は逃げ続けてるので奴との距離はどんどん広がっていくが、光が強くなってるのがこの距離でもハッキリわかる。
ああ、やべーわ、これ。
こんなに離れてるのに何故か走馬灯が見え始めてる。不思議だわー。
「ギョォォォオオオーーー!!」
あっ――。
2Pカラーカマキリの雄叫びが響いた瞬間、薄暗い洞窟が真っ白に染まり、俺の視界は闇に包まれた。
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『竜種(笑)』がムカつくサバイバル〜天の声が俺を嵌めてくるのでツッコミが止まらない件〜 蒼依スピカ @Konotame
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