第3話 呪物の解体と、極寒の心臓部

キッティングの現場は、肉体労働だ。

病院のPCデスクの裏側は、何年分もの埃と、呪物のように複雑に絡まり合ったケーブルの山。


「うわ、これ……前の業者の仕業? 呪われてんじゃん」


私はネイルを今回だけは外しておいたのが功を奏し、指で絡まった配線を一本ずつ解いていく。それは、古びた魔法を解体する作業のようで意外に楽しかった。


二日目、私たちは「サーバー室」の入り口に立った。


「ここからは靴を脱いでください。精密機器の聖域です」


言われるがままに靴を脱ぐと、床から伝わる冷気が凄まじい。ガタガタと震えながら、全員がコートの襟を立てて作業に当たった。あの時の寒さは、南国の血が混ざる私の身体には堪えた。


三日目、作業は佳境に入った。


新生児集中治療室NICUでの作業だ。生まれたばかりの、タオル地のおくるみに包まれた小さな二人の赤子。そのふたつのカプセルのすぐ横で、ガタゴトと配線作業を行う。 ここでもケーブルの「スパゲッティ状態」が牙を剥いた。八台分の配線が壮絶に絡み合い、素人では手が出せない。


そこに、最強の「Aチーム」が召喚された。


「俺ら、仕事を生み出すリーダーに恵まれてっからさ。新たな仕事トラブルがあるところに必ず現れるのだ」


彼らは皮肉を言いながらも、二時間という限定された時間の中で、芸術的な手際で配線を捌いていった。


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