第21話 越境の濁流:沈黙を破る民間人たち

 洛陽での逆転劇が始まろうとしたその時、事態はさらに複雑な国際情勢の渦に巻き込まれた。大貫社長の処刑が迫る中、中国・北朝鮮国境、そして宇都宮の地下深くにも繋がる「新たな亀裂」が生じたのだ。

​「……変美さん、大変です! 洛陽の領事館経由で情報が入りました。韓国側から北に向けて、数千人規模の民間人が**『自発的越境』**を始めたそうです!」

 マサが、ゴンゾウが受信した衛星ニュースの速報を見て叫んだ。

​ 昨年の襲撃事件後、不安定な均衡を保っていた国境線。しかし、大貫社長が持つ「再開発利権のデータ」には、実は朝鮮半島の地下に眠る希少資源の利権も含まれていたのだ。

​ 変美は、ゴンゾウが感知した「遠く離れた海からの匂い」を分析した。

「……これは、ただの平和デモじゃない。越境している民間人の群れの中に、強烈な**『魚醤の匂い』と『最新型のセラミック・ナイフ』**の削り屑の匂いが混じっている」

​ 越境者の中には、掃除屋の組織が送り込んだ武装工作員が紛れ込み、混乱に乗じて大貫のデータとプルトニウムを奪還しようとしていたのだ。

 ■ 宇都宮城地下、再起動

​ その影響は宇都宮にも波及した。宇都宮城址の地下アジトに潜伏していた北朝鮮の残党たちが、越境のニュースを合図に再び活性化。

「大貫を死なせてはならん! 彼は我々の資金源だ!」

​ そこへ、古河の槍使いが割って入る。

「国境を越えるのが人なら、それを阻むのも人の意志。古河の風は、これ以上の不法侵入を許さぬ」

​ 槍使いの長槍が、地下通路を突き抜けてくる工作員を迎え撃つ。一方で、洛陽の独房前では、番犬アイボのゴンゾウが尻尾をプロペラのように回転させ、越境テロリストが放ったドローンを次々と叩き落としていた。

​「ワン! ワンワンッ!」(分析:越境者の靴に付着した泥……これは韓国のDMZ(非武装地帯)ではなく、**『宇都宮・釜川のヘドロ』**の成分を検知!)

​「何だって!?」

 変美は戦慄した。

「……繋がったわ。韓国から越境しているのは民間人じゃない。昨年の襲撃で宇都宮に潜伏し、釜川の地下道で『掃除屋』に飼われていた工作員たちが、今度は『被害者のふり』をして韓国側から半島へ逆流し、データを持ち帰ろうとしているのよ!」

​「そんな手の込んだ真似……」

 絶句するマサを尻目に、変美はゴンゾウを抱え上げた。

​「ゴンゾウ、お前のセンサーを全開にしなさい! 越境者の群れの中から、**『宇都宮餃子のニンニクの匂い』**を消しきれていない奴らを見つけ出すのよ。それが、偽装された工作員の証拠になる!」

​ 洛陽の独房の鉄格子の向こう、死刑を待つ大貫が、  変美とゴンゾウの姿を見て、力なく、しかし希望を込めて呟いた。

「……変美……お前の鼻なら、俺がどこに『本当のチップ』を隠したか……嗅ぎ分けられるはずだ……」

​ その時、大貫の体から漂ったのは、掃除屋のアルコールでも、シャブのケミカル臭でもない。

 宇都宮の母の味、**「しもつかれ」**の、強烈で懐かしい郷愁の匂いだった。

 クライマックスへの加速:しもつかれの暗号: 大貫が「しもつかれ」を最後に食べたいと要求。その独特の匂いの配合の中に、プルトニウムを無力化するコードが隠されている?

​ アイボvs工作員: 越境者の群れに突っ込むゴンゾウ。納豆ミストと餃子レーダーで偽装工作員を次々と暴く。

​ 国境を越えた共闘: 番場、鉄心、古河の槍使い、そして洛陽の変美。北関東の力が、アジアの陰謀を粉砕する。


 日時 出来事 主要な「匂い」

 1日目 夜 飛山城跡の対峙。 掃除屋の女が初登場。機密データを奪い煙幕と共に消える。 土の裏切り、アルコール綿


 2日目 早朝 釜川バラバラ遺体発見。 東武署の唐桶刑事合流。大谷石地下採掘場への導線が判明。 1千万年前の海水、塩素


 2日目 昼 オリオン通りの激突。 栃木vs茨城ヤクザ抗争。背後でプルトニウムが動く。 納豆、ポマード、火薬


 2日目 午後 介護施設での拷問。 変美たちが汚物処理室に監禁される。地下秘密回廊を発見。 アンモニア、北の潮風


 2日目 夜 宇都宮城地下アジト決戦。 津田、鉄心、サキ、番場が参戦。掃除屋の計画が一時破綻。 白檀、エナジードリンク、汗


 3日目 未明 大貫社長、洛陽で拘束。 腰にシャブを巻いた状態で死刑判決。変美一行、中国へ。 ビニールテープ、乾燥した砂


 3日目 夜 洛陽空港・監獄の攻防。 番犬アイボ・ゴンゾウが覚醒。韓国側からの越境と連動。 魚醤、しもつかれ、グリス

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