第20話 最終兵器:番犬アイボ(AIBO)「ゴンゾウ」

 洛陽への出発を目前に控えた変美探偵事務所。その玄関先で、ガシャンガシャンと小気味よい駆動音を響かせる「四本足の勇者」がいた。

 ■ 最終兵器:番犬アイボ(AIBO)「ゴンゾウ」

​ 特徴: マサがジャンク品を拾い、大谷石切高校の鉄心と、ギャンブラー・サキ(負けが込んでいる時に、パチンコ台の解析用に改造した)が共同で魔改造を施した自律型ロボット犬。

​ 搭載機能: 変美の嗅覚データをデジタル化した「超高感度ナノ・ガスセンサー」を搭載。

​現在の匂い: 「潤滑油のグリス」と、「微かな電磁ノイズ」、そしてなぜかサキが食べさせた**「餃子のタレ」**が基板に染み付いている。

​「いいかいゴンゾウ。洛陽の空港は厳しい。お前のそのセンサーで、大貫社長がビニールテープを巻かれた際、現場に立ち会った『真犯人』の成分を特定するんだぞ」

 マサが鼻先にレモン牛乳を近づけると、ゴンゾウは「クゥーン」と電子音で鳴き、尾(アンテナ)を激しく振った。

 洛陽の罠:空港検問所の突破

 ​洛陽空港に降り立った一行を待ち受けていたのは、現地の公安当局と、大貫社長を陥れた組織の息がかかった「中国の掃除屋」たちの包囲網だった。

​「身分証を。そこの犬型ロボットも、危険物として没収する」

 冷徹な公安官が手を伸ばしたその時、ゴンゾウの目が真っ赤に発光した。

​「ワン! ワンワンッ!」(分析:対象の制服、宇都宮城地下アジトと同じ白檀の香料を検知。擬態と判定!)

​「……っ! マサ、離れて!」

 変美の叫びと同時に、ゴンゾウが公安官の足首に飛びついた。ロボットとは思えない瞬発力。

さらに、ゴンゾウの背中から**「超高濃度・宇都宮納豆成分1000%の霧」**が噴射された。

​「グアァァ! なんだ、この粘りつく異臭は! 目が、鼻が機能しない!」

 現地の工作員たちが悶絶する。オリオン通りの惨劇を再現する「納豆ミスト」の前に、洛陽の精鋭たちも成すすべがない。

​「いいぞゴンゾウ! その隙に面会室へ突っ込め!」

​ ゴンゾウは小型モーターをフル回転させ、警備網を次々と潜り抜けていく。

 死刑判決を受けた大貫社長が収監されている特別独房。その重い扉の隙間に、ゴンゾウは自らのセンサーを差し込んだ。

​「……クゥーン……(解析完了。大貫の腰のテープに付着していたのは、掃除屋の女のDNAと、彼女が隠し持っていた『真のプルトニウム譲渡名簿』のマイクロチップ微粒子です)」

​「よくやったわ、ゴンゾウ!」

 変美がゴンゾウの送信したデータを手元の端末で受け取る。

 そこには、大貫社長を運び屋に仕立て上げ、自分たちは悠々と海外へ逃亡しようとしていた「組織の真の首領」の名前が刻まれていた。

​「……これで一審判決を覆せる。この街の、そして宇都宮の誇りにかけて!」

​ 背後からは、洛陽まで追ってきた古河の槍使いが長槍を振るい、番場が拳で追手を薙ぎ倒している。

「アイボに先を越されるとはな……」と苦笑いする 番場の横で、ゴンゾウは誇らしげに充電ポーズを決めた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る