第12話 聖域の陥落:宇都宮城地下アジト
変美の指摘通り、汚物処理機の底に隠されたボルトは、宇都宮の地下深くを貫く「昭和の遺物」——かつての防空壕を拡張した巨大な秘密回廊へと繋がっていた。
そこを這い進んだ先、三人が辿り着いたのは、復元された宇都宮城址公園の**「
かつての本丸が、今は国際テロリストたちの巨大な要塞へと変貌していた。
地上では市民が散歩を楽しむ公園の地下に、昨年の襲撃時に潜伏した北朝鮮の残党と、彼らと手を組んだ国際武器商人たちが、最新の通信設備と兵器を運び込んでいたのだ。
「……ここが、奴らの心臓部か」
唐桶刑事が、汚物に塗れたトレンチコートを脱ぎ捨て、腰のホルスターから拳銃を抜く。
変美は、地下アジトに充満する**「機械油と、高濃度の火薬。そして冷え切った電子機器のオゾン」**の匂いに鼻を震わせた。
だが、その無機質な匂いの中に、一際異質な香りが混じる。
「……
「お目が高いわね、変美さん」
コンクリートの柱の影から、再び掃除屋の女が現れた。今度はその手に、アメリカから奪取したプルトニウムを制御するための、銀色のスーツケースを携えている。
彼女の背後には、AK-74を構えた、映画『シュリ』に出てくる工作員のような冷徹な眼差しをした男たちが整列していた。
「宇都宮城は、かつて関東の守りの要だった。ここにプルトニウムを据え、地下から爆破すれば、宇都宮の地盤は崩壊し、関東一帯の物流とエネルギー網は死に体になる」
「そんなこと、させてたまるか!」
マサが、手元に残っていた最後のレモン牛乳のパックを、手榴弾のように構える。
「……あなたのその香水、そしてこのアジトの白檀」
変美は、一歩も引かずに女を見据えた。
「君の正体は、単なる組織の掃除屋じゃない。君はこの国の古き秩序を、匂いごとすべて焼き払おうとしている、テロリストたちの**『巫女』**だね」
その時、地下の大型モニターが起動した。そこには、オリオン通りで戦っていたはずの、役所広司似の栃木組長と、松重豊似の茨城組長が、血塗れで拘束されている姿が映し出されていた。
「宇都宮の『古い匂い』は、ここで絶えるのよ」
女がスイッチに指をかけた瞬間、宇都宮城の地下に、プルトニウムの臨界を知らせる**「金属的な、痺れるような死の予兆」**が漂い始めた。
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