第5話 初めてのEランク挑戦


村尾仁は、悠木市のギルドで朝の挨拶を済ませた。

今日の目的は、Fランクを卒業してEランクの洞窟を

少しだけ探索することだ。


「仁さん、準備は大丈夫ですか?」坂江幸奈が心配そうに

声をかける。


「うん、昨日よりは少し自信があるから」仁は頷いた。

防具や回復ポーションを確認し、経験値倍増スキルの効果も

忘れずにチェックする。


Eランク洞窟の入り口は、Fランクより少し険しい印象だ。

岩肌が荒く、奥は暗く沈んでいる。


「気をつけて行こうね」麗奈も同行する。

二人は互いに声を掛け合いながら、洞窟に足を踏み入れた。


薄暗い道を進むと、壁に光る鉱石や小さな水たまりがあった。

仁は鑑定スキルで価値を確認する。Fランクより少しだけ

希少な鉱石が見つかり、心が弾む。


「少しずつ冒険らしくなってきたな」仁は小さく笑う。

戦闘はまだ最小限に抑えたいが、発見だけでも十分に楽しい。


奥に進むと、道を塞ぐ中型モンスターが現れた。

「わっ……これはFランクとは違うな」仁は息を飲む。


麗奈は冷静に弓を構え、仁はウィンドカッターを軽く放った。

モンスターは少し抵抗したが、二人で協力して無事に撃退する。


「少しだけ成長を感じるね」仁は笑みを浮かべた。

戦闘は最小限だが、スキルを使うことで安全に探索できる。


洞窟の分かれ道で、小さな宝箱を見つける。

仁は鑑定スキルを使い、中身を確認した。


「これは……防御力が少し上がる盾だ」

「役立ちそうね」麗奈も頷く。


二人は宝箱を分け合い、さらに奥へ進む。

光が差し込む小さな広間に出ると、壁には奇妙な模様が

浮かんでいた。仁は手を伸ばして触れてみる。


「不思議な模様……何か意味があるのかな」

「探索者はこういう発見も楽しみよね」麗奈は微笑む。


帰り道、洞窟内で少し迷子になったが、仁は落ち着いて

地形を確認しながら慎重に進む。

身体強化スキルも使い、危険な箇所を安全に通り抜ける。


外に出ると、夕日が谷を赤く染めていた。

街に戻れば、ギルドで報告と経験値の反映だ。


「今日も無事に帰れたな」仁は胸を撫でおろす。

戦闘は少し増えたが、発見や仲間との協力を楽しめた。


ギルドで幸奈に報告すると、彼女は満足そうに笑った。

「Eランクも、無理せず探索すれば楽しめますね」


仁は頷き、今日の探索を思い返す。

少し強いモンスター、少しだけ貴重な宝物、そして仲間との

協力。これらが、自分のスローライフ探索者ライフを

彩ることを実感したのだった。


夜、街の灯りが温かく輝く中、仁は手帳に今日の出来事を記す。

「明日も、無理せず自分のペースで楽しもう」

静かに決意し、無職少年・村尾仁の冒険は、また一歩前に

進むのだった。

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