第4話 Fランクダンジョンの小さな発見


翌朝、村尾仁は悠木市のギルドに向かって歩いた。

昨日の小さな事件から、少し自信がついた気がする。


ギルドに着くと、坂江幸奈が笑顔で迎えてくれた。

「今日はFランクの洞窟、別のルートを紹介します」


仁は頷き、準備を整える。防具や回復ポーションを確認し、

昨日得た経験値倍増スキルの効果を思い出した。


洞窟に到着すると、入り口から小さな光が漏れていた。

中に入ると、ひんやりした空気と鉱石の匂いが漂う。


「ここは昨日より少し奥だね」仁は声を潜める。

「慎重に行きましょう」麗奈が手を握るように言った。


二人はゆっくりと足を進める。道中、地面には珍しい鉱石や

光るキノコが点在していた。仁は鑑定スキルを使い、

価値を確認する。


「これは……ちょっとだけ高価な鉱石だ」仁は微笑む。

戦闘を避けても、こうした発見で楽しさを感じられる。


さらに奥へ進むと、小さなスライムが道を塞いでいた。

「またスライムか……」仁は軽くウィンドカッターを放つ。

スライムはあっという間に消え、経験値が少し増える。


「戦わなくても、安全に通れそうだね」仁は安心して

先へ進む。


洞窟の分かれ道で、二人は小さな宝箱を見つける。

仁は鑑定スキルを使い、中身を確認した。


「わあ……これは少しだけ攻撃力が上がる武器だ」

仁は嬉しそうに剣を手に取った。戦闘を最小限にしつつ、

少しずつ強くなる感覚が面白い。


洞窟の最深部に近づくと、光の反射で壁がキラキラ輝く。

「きれい……」仁は思わず息を呑む。探索の楽しみは、

戦いだけじゃないと実感する瞬間だった。


帰り道、洞窟内で迷っていた小動物を見つける。

「大丈夫、出口まで案内してあげるよ」仁は優しく声をかける。

麗奈も微笑んで一緒に小動物を連れ出した。


外に出ると、夕日が谷をオレンジ色に染めていた。

街に戻れば、ギルドで報告と経験値の反映だ。


「今日も少しだけ成長したね」仁は笑顔で言った。

戦闘だけでなく、探索中の発見や判断、仲間との協力も

成長の一部だと感じていた。


ギルドで幸奈に報告すると、彼女は満足そうに頷いた。

「無理せず進めば、自然と強くなりますよ」


仁は頷き、今日の探索を思い返した。

小さな発見、仲間との協力、そして少しずつ強くなる自分。

これがスローライフ探索者としての楽しさだと改めて思う。


夜、街の灯りが温かく輝く中、仁は手帳に今日の出来事を

記す。探索は戦闘だけじゃない――発見と成長、仲間との

時間、自分のペースがすべてだ。


「明日も、無理せず楽しもう」仁は静かに決意する。

こうして、無職少年・村尾仁のスローライフ探索者ライフは

また一歩、静かに前に進んでいくのだった。

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