教室までの遠い道のり
情事の余韻に浸る間もなく、現実的な問題が僕たちを襲った。
僕がゆっくりと身体を離すと、堰を切ったように、熱を持った「行為の証」が真理子の肢体を伝い落ちようとする感覚があった。
「あ……」
真理子が慌てて手で押さえようとするが、肌に残る熱と湿り気は、手で拭ってどうにかなるものではなかった。
「……拭くもの、ないわよね」
真理子が困ったように辺りを見回す。
しかし、ここにあるのは埃をかぶった古いマットと、冷たい跳び箱だけ。ティッシュはおろか、タオルの一枚もない。自分のシャツで拭うわけにもいかず、僕たちは途方に暮れた。
「……もう、仕方ないわ」
真理子は観念したようにため息をつくと、足元に脱ぎ捨ててあった濃紺のブルマーを拾い上げた。
「え、真理子、そのまま履くのか?」
「だって、このままじゃ……。……行くよ」
彼女は赤面しながら、まだ熱を帯びて敏感になっている素肌を、そのままブルマーの中に収めるようにして足を通した。
衣擦れの音と共に、ブルマーが引き上げられる。
吸水性の悪い化学繊維の布地が、行き場のない二人の熱気を逃げ場のないまま押し包み、彼女の腿の付け根に密着した。
「んっ……」
腰のゴムをパチンと戻した瞬間、真理子が不快そうに、けれどどこか感じているような声を漏らして内股になった。
それから彼女は、床に落ちていた履いてきたショーツを拾い上げると、小さく丸めて腰とブルマーの間に挟み込んだ。
その間に、僕も短パンの紐を結び、身なりを整えた。
真理子も乱れた髪を指で梳き、シャツの裾をブルマーの中に入れる頃には、見た目だけはいつもの真面目な「体育の授業を受ける生徒」に戻っていた。
ただ、その清潔そうな体操服の下は、誰にも言えない秘密で濡れている。
「……どうだ?」
僕が恐る恐る尋ねると、真理子は潤んだ瞳で僕を睨み、スカートも履いていないブルマー姿のまま、モジモジと腰をくねらせた。
「……すごいの。ブルマーの中で、擦れて……」
彼女が一歩動くたびに、敏感になった肌と布地が擦れ合い、微かな衣擦れの音が静かな倉庫に響くような気がした。
ブルマーの股の部分に、内側からの湿り気と体温がじわりと染み込んでいるのが想像できてしまう。
「歩くたびに、まだ終わってないみたいに感じるの。……くすぐったくて、変な感じ」
そう言いながらも、彼女はブルマーの上から自分の下腹部をそっと押さえ、僕たちが深く繋がっていた感触を確かめているようだった。
「保健委員長」が、情事の余韻を下半身に纏ったまま、ブルマー一本でそれを隠して学校を歩くことになる。
「教室に戻るまで、ずっとこのままだぞ」
「……責任取ってよね。私の身体、佐藤くんの熱でいっぱいなんだから」
真理子は太腿をすり合わせ、内側に抱えた違和感を噛みしめるように、困ったような、それでいて艶やかな笑みを僕に向けた。
その歩き方は、明らかにいつもよりぎこちなく、そしてどうしようもなく色っぽかった。
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