すごかったね、実技
古いマットがきしむ音と、僕たちの荒い息遣いが混ざり合い、倉庫の空気を震わせていた。
「あぁっ、……すごい、熱いっ!」
真理子が僕の背中に爪を立て、なりふり構わずしがみついてくる。
さっきまでステージ上で見せていた「模範的な生徒」の仮面は、もう剥がれ落ちていた。汗で髪を振り乱し、快楽に顔を上気させ、ただ一人の女として貪欲に僕を求めていた。
「真理子、俺も、もう……!」
互いの肌を強く重ね合わせるたび、視界がチカチカと白く明滅する。
筋肉の収縮だとか、身体の構造だとか、そんな理屈は彼方へ消え去った。
ただ、彼女と一つに溶け合っているという熱情だけが、脳髄を痺れさせていく。
「もっと……! もっと、強くっ……!」
真理子が僕の腰に脚を絡め、逃がさないとばかりに強く締め付けてくる。
その全身を使った情熱的な愛撫が、僕の理性の最後の一欠片を焼き尽くした。
「くっ、だめだ、限界だ……っ!」
「いいよ、佐藤くん……! 全部、ちょうだいっ……!」
その言葉が引き金だった。
高まった熱波が一気に奔流となって全身を駆け巡る。
「う、おおぉぉっ!」
「あぁぁぁぁぁーーーーっ!!」
僕は彼女の身体を強く抱き締め、その華奢な身体を私の全存在で押し包んだ。
真理子の背中が大きく弓なりに反り、電流が走ったように激しく震える。
ドクン、ドクン、ドクン。
重なった胸の鼓動が完全にシンクロし、まるで魂ごと溶け合ってしまうかのような、長く、深い空白の時が二人を包み込んだ。
やがて、寄せていた波が引くように、急速に力が抜けていく。
僕は糸が切れたように脱力し、真理子の柔らかな身体の上に顔を埋めた。
「はぁ、はぁ……、はぁ……」
二人分の荒い呼吸音だけが、静寂を取り戻した薄暗い倉庫に響き渡る。
汗ばんだ肌と肌が張り付き、そこから伝わる互いの確かな体温だけが、この夢のような時間が現実であったことを証明していた。
「……すごかったね、実技」
長い沈黙の後、真理子が消え入りそうな声で呟いた。
僕の腕の中で、彼女はとろんとした瞳で満ち足りた表情を浮かべ、愛おしそうに僕の頭を撫でていた。
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