あと数センチの境界線
体育館倉庫の密室。抱き合うことで高まった熱気は、理性を少しずつ溶かしていくようだった。
真理子の手が、僕の背中から腰の方へとゆっくり滑り落ちていく。
その動きがあまりになめらかで、僕は身を任せていたけれど、彼女の指先が短パンのゴムの縁にかかった瞬間、心臓が大きく跳ねた。
「……ま、真理子?」
僕が上ずった声で名を呼ぶと、彼女は僕の胸に顔を埋めたまま、指先をさらに深く、短パンの内側へと忍び込ませてきた。
ゴムの締め付けと共に、彼女の熱い指の感触が直接腰骨に触れる。
「……ねえ」
真理子がくぐもった、濡れたような声で囁く。
「さっき、大腿四頭筋(太ももの筋肉)までは見せたけど……」
彼女の指が、グイッと短パンを下に押し下げようと力を込める。
「『大臀筋(だいでんきん)』……お尻の筋肉は、まだ解説してないよね」
それは、あまりにも苦しい、けれど抗いがたい言い訳だった。
保健係としての使命感なのか、それともただの好奇心なのか、あるいは――。
「ちょ、ちょっと待って。ここではまずいよ」
僕が慌てて彼女の手首を掴む。
けれど、真理子は抵抗するどころか、潤んだ瞳で私を見上げ、挑発するように小首をかしげた。
「どうして? ここは倉庫よ。誰も見てない」
「それはそうだけど……」
「佐藤くんの身体の仕組み、もっと詳しく知りたいの。……ダメ?」
ブルマ姿の彼女が、半袖短パン姿の僕に迫る。
その瞳の奥には、理科室で見せていた真面目な光とは違う、危うい熱が揺らめいていた。
掴んだ手首は熱く、脈打っている。
彼女の手は止まらない。短パンの生地が擦れる音が、静かな倉庫にやけに大きく響いた。
あと数センチ下げられれば、もう後戻りできない――。
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