第3話

ユーダンは死んだ。

そのあとはよく覚えていない。

村の英雄だとか、未来の英雄だとか、みんなはそう思ってたかもしれないけど、俺とっては最高の友人だった。

だからこそ、その分のショックで俺は1年間もの間家からあまり出ていない。俺は、おれ、は、守ることが、できなかった。


「フェルスト!!」


父ちゃんだ。久しぶりだな。声聞くのも、家に帰ってくるのも。


「あぁ。おはよう。父ちゃん。」


「おはよう。お前、、吟遊詩人の方が村に来ているのは知ってるか?」


「知ってるよ。前父ちゃんから聞いたから。」


最近村に、吟遊詩人が来たらしい。あいつが来て、かれこれ1週間くらいか。長くいるもんだと思う。


「じゃあこれは知ってるか?

ひと月前、王都に悪魔が出たらしいぞ。」


!!!


「あ、あく、、ま?」


「そうだ。悪魔だ。悪魔は王国の宰相閣下の娘を攫い、王都近辺の森で、殺害したらしい。」


、、、

「そうか、、、ごめん。父ちゃん。考えることある。」


ガタッ

重い腰を椅子から上げ、俺は立ち上がり、

2階に、上がった。


おれは、、、このままでいいのか。

他人も他人。宰相なんて知らないし、その娘なんて全く関係ない。でも、、、脳裏にユーダンの顔が浮かぶ。おれは、ユーダンを誇りに思っていた。でも、ユーダンは?おれは、誰かにとって誇れる人間だったか?そうじゃない。そんなの、わかってる。でも、、、

ここで動かなきゃ、変わらない。


「俺は決意する。」


自室でドアを背にもたれかかっている少年は、つぶやいた。


「俺は魔を祓う。そして、強くなる。」


「俺は、あいつに誇れる、、、誰かを守れる、、、強さを持つ、戦士になる。誰かにとっての、英雄に、、、なる。」


父ちゃんには、ユーダンの話をしてない。でも、ついに、話す時が来た。これは俺が、

俺に向き合う上で、ユーダンに向き合う上で、

大切なことだ。


階段を降り、父ちゃんを呼びかける。


「父ちゃん」


父ちゃんは俺の目を見た。


「なんだ。」


「実は、、、」


父ちゃんは、俺の話を聞くと、そうか、とだけ言った。

俺が旅立つのを知っても止めずに


「その選択は難しいかもしれない。苦しいかもしれない。だが、お前が選んだ道だし、とうちゃんは応援するぞ。」


と、少し微笑んで話してくれた。

王都に行くまでにはレナルという街と、スラッグという街を通らなければならない。

父ちゃんは俺にそこまでの地図と、カバン、小剣を渡し、


威厳のある、しかし少しだけ悲しそうな顔で、


「行ってこい。」


と、送り出してくれた。


少年は、今旅立つ。





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2026年1月3日 19:00
2026年1月4日 19:00
2026年1月10日 19:00

英雄を失った俺は、臆病者のまま剣を取る。 @haizinchan

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