盗撮

 照明を落とした室内は、ノートパソコンのディスプレイだけが青白く光っていた。

 沢尻はワイングラスを傾けながら、この屋敷の主がマスターベーションにふける様子を眺めていた。彼女の寝室に仕掛けた隠しカメラがとらえるライブ映像だ。

 もしかすると、写真展で出会ったという男との行為を夢想しているのかもしれない。今夜の彼女は、普段よりもどこか特別なたかぶりを見せている。

 沢尻は自分の股間に手を伸ばす。そこは熱を帯び、硬く張り詰めていた。隠し撮りという背徳行為が必要以上に興奮を呼び起こすのだ。

「あぁ、あぁ……」

 ヘッドホン越しに彼女の嬌声が聞こえてくる。他人に覗かれているなどとは微塵も考えていないからか、彼女は官能のおもむくままに声を上げ、奔放に振る舞っている。

 盗聴器のクリアな音質に満足しながら、沢尻は空いたグラスにワインを注ぎ足す。口に含んだワインの渋みが、たかぶる感覚と交錯する。股間はさらに熱を増していたが、今夜はそれを解放するつもりはなかった。性欲をコントロールできなければ猿と同じだという考えから、射精は月に二回までと決めていた。今日はその日ではない。

「あぁ、はぁ、やばい……、あぁ、はぁ……」

 彼女の嬌声が高くなるたびに、自らの股間から官能の波が押し寄せてくる。その感覚を静かに味わいながら、沢尻はワイングラスを口元に運んだ。

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