不穏な影

オーストラリアにやって来てから今までとは全く違う生活がスタートした。当然使われる言葉は英語、食事も日本とはまるっきり違う。お金の単位も時間の流れかたも全てが違っている。慣れるまでに時間はかかるだろうが徐々になれていくしかなかった。しかし、私はとても充実していた。ずっとやりたかった海外留学が出来ていると思うととても嬉しかった。オーストラリアの人達は日本のことが好きな人が多く、日本人の私に凄く優しくしてくれた。お土産店の先輩方もお客さんも慣れない私に優しく接してくれて、失敗しても笑顔でフォローしてくれた。会話も最初は噛み合わず、焦ってしまう事があったが、先輩方はゆっくりでいいと落ち着かせてくれた。仕事が終わると英語の指導もしてくれた。外食に連れていってくれたり、休日には遊びに行くこともあった。オーストラリアは独特の生き物が多いので、生き物が好きな私にとってはたまらなかった。冷志にも見せてあげたいと思った。オーストラリアの料理も教えてくれて、日本に帰ったらりんたろうに作ってあげようと思った。オーストラリアに来て半年たつ頃には英語にも慣れ会話が出来るようになった。オーストラリアに来て本当に良かったと思う。

 オーストラリアに来てからもうすぐ一年となる頃、朝から体の様子がおかしかった。体に力が入らない。体が重くてダルい。起き上がるのも一苦労だった。オーストラリアに来た疲れが今頃出たんだろうと思った。だが、今日は人手があまりいないので休むわけにはいかなかった。私は調子の悪い体に鞭打って職場に出勤した。

 上司「沙理奈さん大丈夫?凄く顔色悪いみたいだけど」

 森「大丈夫です…ちょっと疲れが貯まってるだけなので」

私は仕事を始めたが、思うように体が動かない。ちょっと動くと疲れてしまう。ふらついた私を上司が支えイスに座らせた。

 上司「沙理奈さん、今日はもう帰りな。後は私達がやっておくから」

 森「いえ、今日は人が少ないですから帰るわけにはいきません」

 上司「でも、その様子じゃ無理よ。病院に行った方がいいわ」

 森「大丈夫です…働けます」

そう言って立ち上がろうとした時目の前の景色が歪み、そして真っ暗になった。

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