想いだけを受け取って

冷志に告白されてから私は数日考えた。高校の頃とは違い、今回は正式にお付き合いを申し込まれた。冷志はきっと凄い勇気を振り絞ったと思うし、連絡をとらなくなってしまってもずっと私のことを好きでいてくれた。だから素直にとても嬉しかった。沖縄にいてなかなか会えないが、お盆や年末は帰ってくるようなので会おうと思えば会える。しかし、私も海外へ留学に行きたいと思っているし結局なかなか会えなくなると思う。だけど冷志の気持ちを足蹴にすることもしたくない。私はこの数日間本当に悩んだ。そして私は冷志にメールを送った。

 海外に勉強に行く資金も貯まった。住む場所も手続きも全て完了した。私が語学勉強に選んだ場所はオーストラリアだ。英語圏で比較的距離が近く8時間ほどで行ける。日本人も多く住んでいるからほんの少し安心がある。治安も悪くはないので女性一人でもよほどのことが無い限り大丈夫だろう。お土産店で働きながらアパートの家賃や生活費を稼ぎ、現地の人と触れあいながら英語を勉強していこうと思う。やはり英語は実際に聞いて、話すのが一番の勉強だろう。りんたろうと勉強したからある程度は話せるので準備は万端だ。一年は留学するつもりなので暫く日本とはお別れだ。だが、日本で思い残すことはないのでしっかり前を向いてオーストラリアに行くことが出来る。りんたろうの見送りにも行けた、ほんの少しだが英語を聞き取り返答する勉強もした、家族と食事会もした、そしてメールではあったが冷志にしっかりと向き合い返事を出すことが出来た。

 森「返事遅くなってごめんね」

 冷「大丈夫だよ」

 森「冷志の気持ちは凄く嬉しい。だけど、付き合うことはできない。ごめんね」

 冷「そっか、分かったよ。ありがとね話を聞いてくれて。伝えられて良かった」

 森「ごめんね」

 冷「いいよ、気にしなくて」

冷志には本当に申し訳なかったけど、これが私の答えだった。冷志の気持ちは本当に嬉しかった。だけどやっぱりこれからオーストラリアに行くのに付き合ってしまったら、きっと日本のことが頭から離れなくなると思った。あと、りんたろうが一人で頑張っているんだから私も頑張らなきゃいけないと思った。りんたろうは私のために勉強を見てくれたり、料理まで作ってくれた。しっかり勉強して英語が話せるようになったら、あの時の感謝を伝えようと思う。もちろん英語で。今度は私がりんたろうに料理を作ってあげようと思う。あまり自信はないけど。冷志にはもっと素敵な人を見つけてもらって幸せになって欲しいと思う。この想いに嘘はなかった。沖縄で一人で頑張っている冷志は凄いと思うし、見習わなければと思っている。りんたろうも一人でフランスに留学に行った。二人に負けないように私は後ろ髪を引かれることなくオーストラリアへと旅立った。

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