どん底をへての復活
沙理奈に振られてからというもの。体の調子が優れない。体がだるい、吐き気が収まらない。好きな人に振られるのがここまで辛いものだとは思わなかった。つくづく精神が弱いと思った。そんな精神の弱さが彼女に嫌な思いをさせてしまったのだ。会えないのが苦しかった、彼女の声が聞きたかった、彼女に会いたかった、その心の不安からメールを頻繁にしてしまい彼女の心に不信感や不快感を芽生えさせてしまった。そんなことをぐるぐる考えて心が病み体の調子も崩してしまう。結局この状態から抜け出すのに一ヶ月かかることになった。
時は流れ俺は専門学校二年生になった。後輩が入学してきて俺も先輩になった。学校で飼育している魚達の世話を指導したりしたが同じ魚や生き物好き、俺なんかよりみんな物知りで生物に詳しかった。俺ごときが指導なんておこがましかった。二年生になると周りの友達は企業への研修を行いそのまま内定をもらう人が多かった。俺は魚を捕まえる仕事をしたいと考えていたがなかなか当てはまる企業がなかった。個人的に調べてみると沖縄県に自分の希望にピッタリ合った企業が見つかった。俺はその会社にコンタクトを取り、夏休みに研修へ向かった。
沖縄に到着し研修が始まった。この会社はダイビング機材を身につけ、水中に潜り捕まえた魚を水族館や熱帯魚屋に出荷するという仕事だ。出荷作業や事務作業をやらせてもらった。沖縄の夏は想像していたよりずっと暑くその中での作業はとても大変だったが、見たことない魚や生き物を見れるのが楽しかった。捕獲研修もやらせてもらった。ド素人がそう簡単に捕まえられるはずがなかったが自分のやりたいことをやれていることが嬉しかった。俺が通う専門学校は研修先で内定をもらう人がほとんどだが俺も内定をもらうことができた。二週間の研修は充実したものにすることができた。
沖縄から帰ってきて俺は沙理奈にメールで内定報告しようか迷っていた。また嫌な思いをさせてしまうだろうか、連絡をしなくなってから一年も経っている。やはり返信を返してはくれないだろうか、でもやっぱり伝えたい。偉を決して俺は沙理奈にメールした。
冷「やっほー、沙理奈。お久しぶりでございます。沖縄の企業へ就職が決まりました。沙理奈に振られて精神と強くなった気がします。私を振ってくれてありがとう」
振ってくれてありがとうというのは少しおかしかったが沙理奈にメールで報告した。すると一年ぶりに沙理奈からメールが返ってきた。
森「久しぶり~!おめでとう。良かったね!でも、凄く遠いんだね。あの時は自分の事で精一杯だったからごめんね」
久しぶりにメールのやり取りをしたが一年たっても沙理奈はいつも通りの感じだった。でも、それが嬉しかった。
冷「ありがとう、また生き物好きな友達に戻れるかな?」
森「友達をやめたとは思ってないよ」
冷「ありがとう、また何かあったら連絡するね」
沙理奈は変わらずどこか達観したような、クールというか、そんな雰囲気を変わらず持っていた。一年ぶりにしたメールはすぐに終わってしまったがとても、とても嬉しかった。この時の俺は気づかなかったが、俺の中に眠っていた気持ちが目覚めた瞬間だったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます