絶対負けない
彼女「ごめん、りんたろう。私もうりんたろうとは一緒にはいられない」
突然別れを切り出された。俺も彼女もお互いのことを想っている。だが、彼女は頑張り過ぎる俺の姿を見るのが辛くなったらしい。大好きな人の為に頑張るなんて当たり前なのに…
彼女との出会いは高校三年生の時。アルバイト先で出会った。一つ年上だったが彼女は言動も見た目も幼く、俺の方がしっかりしていた。そこがとても可愛らしくみえた。告白をしてきたのは向こうから。意外と思われるが俺はそこそこモテる。そこから俺たちは色々な場所へ出掛けた。水族館、動物園、遊園地、映画にショッピング、忙しい合間を見つけては予定を合わせて二人の時間を過ごした。プレゼント選びに迷った時は冷志を巻き込んで彼女に似合う財布や靴を選んだ。文化祭の日に遊びにきた時は冷志と会わせた。彼女は誰とでも仲良くなれるから冷志とも直ぐに打ち解けた。そんな明るい所も大好きだった。専門学校に入学してからも彼女との関係は続いた。俺は絶対にこの子を幸せにする。もしこの子と別れるような事があったら俺はもう恋愛なんてしない。それくらいの覚悟だった。正直専門学校やアルバイトで忙しくきつかったが彼女のためなら頑張れた。でも、その頑張りが彼女を苦しめているとは気づかなかった…
彼女「私の為に無理をしているりんたろうを見たくない。私といるとりんたろうは平気な顔で私のために頑張り過ぎる。そんなりんたろうを見ているのが辛いの、だから別れて」
伊「分かった、今までありがとう。凄く楽しかった。どうか幸せになって下さい」
引き留めはしなかった。彼女が望むならその望みを叶えてあげたかった。こうして俺は彼女と別れた。お互いを想うあまり別れることもあるのだと初めて知った。冷志には色々世話になったからメールで報告した。冷志には悲しい報告ばかりしているが俺たちの幸せを願っていてくれたから報告しないわけにはいかなかった。
伊「冷志すまん。たった今彼女と別れた。色々やってくれたのに申し訳ない」
冷「そっか、残念です。俺は大丈夫だよ。けどりんたろうは大丈夫なの?」
冷志はとても残念そうだった。メールの文脈からも読み取れた。俺たちの結婚式に出席したいと言っていた位だし、沙理奈に振られてから同じ思いを味わわせたくないと俺たちの幸せを一番願ってくれていたから無理もない。
伊「大丈夫、心は強いから」
冷志に心配かけないように返信した。すると冷志が俺に問いを投げかけた。
冷「なぁりんたろう、俺たちは何のために夢を叶えようとしてるのかな?」
大好きな人に振られて、応援していた俺たちも別れて冷志の心は悲しみに満ちていた。しかし不思議と俺には悲しみが少なかった。これからは自分のために夢を叶えると心の中を切り替えたからだ。
伊「好きな人がいなくとも、彼女に降られても関係ない。俺は俺のために夢を叶えるだけだ」
そう冷志に返信した。冷志にも悲しみを乗り越えて欲しいからだ。この時から俺の自分のための戦いが始まった。そして同時にもう恋愛なんてしないと心に決めた。もう恋愛なんて面倒くさい。どんな美女でも、どんな金持ちでも絶対に付き合わない。俺はこれから一人で生き続ける。
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