恋なのか、それともほかのなにかなのか
同性婚の合法化を求め、街なかで署名活動をしているひとを見た。
元アイドルだったあの子が、ある日突然「女の子が好きです。海外に行って、女の子と結婚しました」と言った記事を読んだこともある。
同性愛者であるという理由だけで祖国を追い出され、難民認定を受けたひとの話も読んだ。
それでも、私はこの胸の高鳴りに「同性愛」というラベルを付けることはできなかった。
それはあまりにも遠い世界の話で、私に起こることなんて思ってもいなかった。
フランス語の授業が楽しみになって、前日はスキンケアを念入りにした。当日の朝はいつもより時間をかけてメイクをした。爪が、目元が、唇が、ちょっとでもかわいくなるためならなんだってした。
彼女と出会った日に、安い美容院ではなく、いつもは行かないような高級感のある店の扉を開いた。予約が必要だということを知らなかった私は、2日語の予約を取り付けた。
彼女が一瞬でもこっちっを見てくれる。それが幸せでたまらなかった。
もっといろんなことを知りたい。どんな食べ物が好きなのか、どんな色にときめくのか、どんな景色を見たいのか、どんな本にこころを奪われるのか、どんな家族と過ごしているのか。
なんだって知りたい。どんなことだって知りたい。
初回の授業で、みんなで自己紹介をした。
私と彼女は同じ班だった。
彼女は「フランスに友人がいて、フランスに1年間住んだことがある」と言っていた。
私はただシャンソンを聴きたいからだと言ったが、もっといろんなことを知りたいと言った。
「フランスのことをもっと知りたいので、インスタを教えてもらえますか?」
彼女はその私の問いに「もちろんです」と言った。
それから授業のこととか、好きなこととか、そういったことを話すようになった。
彼女のインスタの投稿はどれもセンスが良くて、素敵で、大人びていた。
彼女がストーリーを見てくれると嬉しくて、彼女がそこにハートを落としてくれるともっと嬉しかった。
そんな幸せな日々は、恋なのか、それともほかのなにかなのか、私にはわからない。
私の毎日に彩りを与えてくれるのは、間違いなく彼女の存在だった。
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