第一話 出発

 家で荷物を整える。護身用兼お守りのエグゼキューショナーズソード、数日分の食料に火の魔法が込められた筒、最低限の荷物をバッグに詰め込み家を出る。剣は相変わらず重かった。

向かう先は王都から遠く離れたアズール海国。どうも食に自信のある国らしくその道中の町でさえ美味いと言う噂の旅路だ。

「ふぅむ…そうだな。一応薬も持っておとするか。」

 薬屋に向かうために家の扉に手をかけると逆に押し込まれ私の方向に扉が開く。

「あ?」

「処刑人殿はいらっしゃいますか!」

 扉1枚挟んだ距離とは思えない轟音が耳をつんざく。

「相変わらずうるさいな。ガルド。」

「おぉ処刑人殿!今から出かけるところで?」

「あぁ。あと処刑人殿はやめてくれ。もう処刑人は辞めたのでな。」

「はっ!それは失礼。」

「用件はなんだ?」

「国王から処、オズワルド殿が旅に出ると聞いたのでお供にと思いまして。」

「はぁ〜お供だぁ?いらんいらん。私は自由に旅がしたいのだ。」

「そう言われると思いまして国王から一言、あずかっております。」

「は?」

『仲間を2人以上集めないと指名手配するからな。』

「はぁ〜!?」

「ということでありまして。どうです?私は戦闘に料理、交渉もできますが…。」

………確かによく考えればこいつは有能か。元騎士団だし貴族だし。よく知らん奴仲間にするよりマシか…。


「分かった分かった。認めてやる。」

「ありがとうございます!」

パァとガルドの顔が明るくなる。犬みたいなやつだな。

「処、オズワルド殿。もう一人はもうお決まりで?」

「呼びづらいなら処刑人でいいぞ。もう一人なぁ

まぁアテはあるが了承してくれるか…。」

「アテ…となりますと?」

「薬屋に行くぞ。」



リンリンッ

扉に付けられた鈴がけたたましく鳴り響く。

「エルネの嬢ちゃんはいるかい?」

「あっオズワルドさんと…誰?」

「はっ元騎士団所属、ガルド・アルベインであります。」

「げっ国の犬かよ…」

「なっ!?」

「まぁまぁ2人共、やめな。」

「「ぐっ」」

「なんですかオズワルドさん。こんなの連れてきて…処刑人の仕事はどうしたんですか?」

「あぁ聞いてないのか。処刑人は辞めた。」

「え!?」

「そんで旅に出ようと思ってな。」

「え!?」

「ついてこないかい?」

「えぇ!?え…え、えぇ…」

フリーズしてしまった。

「あの処刑人殿。彼女は何者で?」

「嬢ちゃんは元、国の拷問官でな、拷問と回復魔法に優れてるんだ。回復魔法は絶対欲しいだろ?」

「なるほど…」

「んで、嬢ちゃん結局どうすんだい?」

「ついてきます!」

「即答かい。店はいいのか?」

「お母さんが居ますし。ところで出発は何時ですか?」

「今だ。」

「え?」

「今だ。」



「ハァハァ間に合った。」

「エルネ殿は随分物を持つのですね。」

「女の子は荷物が多いの!爪剥ぐよ!」

「す、すいません。」 

「無駄話してないで行くぞ。」

「「はーい」」


こうして私の旅は始まった。

処刑人に騎士に拷問官という歪なメンバー、しかし元。楽しい旅になりそうだ。


「え…オズワルドさんが笑ってる…」

「そんなわけ…本当だ!?」

「なんだお前ら失礼な。」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

(元)処刑人オズワルドの放浪旅 落伍 @rkg_rei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画