第5話 救い…それから

祖父はまだ帰宅してない。

だけど、やがて祖父が帰ってきたら

全部バラされて大変な事が起こるのがわかっていた。


その地獄に落そうとしてるのが目の前のむーこーだ。

涙目で睨み付けていた


「やっちゃん、なんでお金なんて盗もうとしたの?」


私の目を気にしていないかの様な優しい声でそう聞いてきた。


「……」


恥ずかしくて言いたくない。


「お菓子でも買いたかった?」


首を横に振る


「なんか欲しい文具品とかあったの?キャラクターグッズとか?」


また、首を振る。

ちがう!そんなの欲しくない!


むーこーの声はずっと優しいトーンだった。だからなのか、

段々と彼には話しても良いような気がしてきた。


テーブルの下でぎゅっと手を握る。


その前からを血が漏れない様に、力をいれてぎゅっと締めていた。


「生理…で…ナプキンが欲しかったの」


「生理?!……なる程ね。ナプキン買って貰えないのか、じいちゃん…ひでぇな」


その声は呆れた様に苦笑していた。


え…、解ってくれた?!


その瞬間から、むーこー兄ちゃんが味方に思えた。


「やっちゃん、俺が買ってやるよ。ドラスト行こうか?」


泣きそうになった。

ありがたくって、嬉しくて。


「…むーこー兄ちゃん…ありがとう」


出かける前にトイレに行って、祖父にバレない様にあまり沢山は取らなかったけどトイレットペーパーを数巻き取って

その前からショーツにあてて汚れたぺーパーのその上に重ねた。

すごくごわごわして歩きにくい。


近所のドラックストアで沢山入ってるナプキンを買って貰った。


400円でお釣りが返ってくる金額だった。


紙袋に入れられたそれを私に渡してくれた。


「じいちゃんが帰ってくる前にそれ、隠さなきゃな」


そう言われて素直にそう思った。

…うん。そうだ、隠さなきゃ。


急いで家に帰ると、初めてナプキンを使った。

わからなくてテープのついてる方を身体側にしてつけてしまった。


トイレから出てくると、むーこー兄ちゃんが

ドアの外に立っていて、優しく笑ってる。


それから


「やっちゃん、生理終わったらプロレスごっこやろうな」


私はそれを聞いた瞬間


さっきまで優しいと思ってたのが

実は罠だったのかもしれないと思った。



笑顔が消えてくのが自分でもわかった



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